青柏祭

青柏祭（せいはくさい）

青柏祭は、石川県七尾市にある大地主神社で、毎年5月1日から5日まで行われる伝統的な祭りです。この行事は、七尾市の四大祭の一つであり、お熊甲祭、能登島向田の火祭、石崎奉燈祭と並び称されています。さらに、青柏祭は国の重要無形民俗文化財に指定され、ユネスコの無形文化遺産の一つにも登録されています。

由来と特徴

青柏祭の名称は、神饌を青柏の葉に盛ることに由来するとされており、祭りの主な特徴の一つは「でか山」と呼ばれる巨大な山車です。これらの山車は、三町「府中町」、「鍛冶町」、「魚町」からそれぞれ奉納されます。山車の名称は、地域の方言「でかい」に由来し、その大きさが際立つものとなっています。

祭りの最中、でか山は狭い街道を進み、家々の軒や電信柱に迫る様子は圧巻です。特に辻回しでは、祭りに参加する若衆たちが伝統的な手法を用いて優雅に回転させ、その姿は多くの観衆から歓声を浴びます。また、一般の観光客もこの祭りに参加し、直線部分や辻回しで綱を曳くことができます。

特に5月2日には、でか山に乗せられる人形の確認が行われ、地域の文化の一端を感じる重要なイベントとなっています。1990年からは、観光客の誘致と祭りの人手確保を目的に、日程がゴールデンウィークに合わせて10日早められています。

歴史

青柏祭の起源は961年（天元4年）に遡り、当時の能登国の国守・源順がこの祭りを定めたと伝えられています。ただし、現在の形となったのは室町時代後期とされ、正確な起源は明確ではありません。古くは4月に毎年行われていましたが、祭りにまつわる伝説も多く、その中には地元の山王神社に美しい娘を捧げる習慣があったという逸話もあります。

ある年、娘の父親が神社に忍び込むと、猿が祭りの日が近づいていると話しているのを耳にします。彼は、「しゅけん」と呼ばれる白い狼に助けを求め、無事に娘を救ったとの伝説があり、この出来事から祭りの重要性が増したとされています。

1000年以上も続くこの祭りは、七尾市民にとって誇り高い存在であり、例年多くの人々が参加し、地域文化の伝承に寄与しています。

山車（でか山）について

青柏祭の最大の見どころは、その壮大なでか山です。山車の形状は舟形を模しており、全高約12m、幅約4.5m、総重量は約20トンに達します。この山車は日本国内でも最大級であり、毎年、職人たちによって一ヶ月以上かけて組み立てられます。

組み立ての様子は、まず大きな木枠の骨組みを組み、そこに竹を用いて碁盤の目状に組み込んでいく作業から始まります。釘などは使用せず、藤や藁を用いる技法で作られたこの山車は、動きに柔軟性を持ち、耐久性も兼ね備えています。山車の上段には毎年異なる題材が設けられ、華やかな歌舞伎のシーンが再現されています。

辻回し

祭りの大きな見どころの一つが辻回しです。でか山を町の角で回す技術は古来から受け継がれ、若衆たちの心意気が表れています。四つ角やT字路での回し方が異なり、特に四つ角では大梃子を使いながら巧みに回転させる様子は圧巻です。その際には観衆も手伝い、共に盛り上がる瞬間が決定的な場面となります。

木遣り唄と木遣衆

でか山の上では、5種類の木遣り唄が歌われ、その多様性は地域ごとの特色を反映しています。祭りの準備の中で、木遣衆たちは練習を重ね、祭典当日は浴衣を身にまとい、観客に生のエネルギーを届けます。

青柏祭は、地域の文化と伝統を守り、次世代に受け継ぐ重要な役割を果たしています。この祭りの魅力は、訪れる人々に深い感動を与え、多くの人々に愛され続けています。

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