頸椎

頸椎の概要

頸椎（けいつい）は脊椎を構成する重要な骨であり、動物の頭部を支える機能を持つ。また、頸椎は前後屈や横屈、左右回旋といった動きを可能にし、日常の生活や生理的な機能に欠かせない役割を果たしている。ここでは、頸椎の構造と、各動物群におけるその進化について詳しく考察する。

両生類の頸椎

現生の両生類においては、頸椎は主に第一頸椎（環椎）によって構成されており、この頸椎は突起のない滑らかな構造をしている。また、第一頸椎は2つの後頭顆と関節し、これにより魚類には見られない背腹方向の運動が可能となっている。初期の両生類では、後頭顆と関節窪みはそれぞれ1つずつしか存在しなかったと考えられている。

有羊膜類の頸椎

有羊膜類の頸椎は、両生類と比べて数が多く、柔軟性が高いのが特徴である。この段階で第一頸椎（環椎）と第二頸椎（軸椎）が出現し、環椎は環状構造を持ち、頭側に深い上関節窩を持つ。爬虫類や哺乳類において、環椎は後頭顆と関節し、動きの自由度を提供する。特に有羊膜類のほとんどは、環椎の椎体が欠損し、軸椎の歯突起がその役割を担う。この歯突起は環椎を貫通し、頭部と環椎の回転軸として機能する。

恐竜の頸椎

多くの非鳥類型恐竜、特に曲竜類やケラトプス科以外の種は、鸟类のようにS字型に湾曲した頸部を持っていた。特に長い頸部を持つ竜脚類は多くの頸椎を有し、非常に高い柔軟性を示していたが、現代の鳥類ほどの運動能力は持っていなかったとされる。

鳥類の頸椎

鳥類は頸椎の数が非常に多く、例えばハトは12個、ニワトリやアヒル、フクロウはそれぞれ14個、ガチョウでは17個、ハクチョウに至っては25個の頸椎がある。特にフクロウは左右に270度もの回旋が可能であり、その柔軟性は特筆に値する。

哺乳類の頸椎

大部分の哺乳類において、頸椎は7つの骨から構成されている。ヒトやキリン、クジラもこの例に含まれるが、例外としてマナティーやオオアリクイは6個、ナマケモノは6〜9個の頸椎を有している。哺乳類の第三から第七頸椎までは類似の形状を持つが、下に行くほど椎体の大きさが増し、特に第七頸椎は長く大きな棘突起を持つため、隆椎とも呼ばれる。また、頸椎間で特に柔軟性が高いのは第一頸椎と第二頸椎の間の環軸関節である。

頸椎はすべての脊椎動物に共通する重要な骨であり、その形状や機能は種によって大きく変化している。進化の過程で、様々な環境に適応するために、頸椎の構造は進化してきた。

参考文献

• - 森於菟、改訂:森富「骨学」『分担解剖学1』（第11版第20刷）金原出版、2000年11月20日、19-172頁。ISBN 978-4-307-00341-4

• ---

もう一度検索