曲竜類

曲竜類（アンキロサウルス類）とは

曲竜類（きょくりゅうるい）、または鎧竜類（よろいりゅうるい）とも呼ばれるアンキロサウルス類は、鳥盤類に属する草食恐竜の一群です。最も特徴的なのは、カメのような甲羅に似た装甲を持つことで、身を守るための頑丈な鎧をまとっています。ジュラ紀中期に出現し、白亜紀末まで存続し、南極を含む全ての大陸で生息していたことが確認されています。特に後期[[白亜紀]]に繁栄しました。

語源

「アンキロサウルス」という名前は、ギリシャ語の「ἀγκύλος（ankylos：湾曲した、硬い）」と「σαῦρος（sauros：トカゲ）」に由来します。これは、大小の骨盾が融合して背中と側面を覆う装甲という解剖学的特徴にちなんでいます。

発見と研究の歴史

曲竜類の化石が初めて確認されたのは1832年、イギリスで発見されたヒラエオサウルスです。その後、19世紀にかけてヨーロッパ各地で化石が発見されましたが、いずれも不完全なものでした。20世紀に入り、北米やアジアでより完全な化石が発見されるようになり、研究が進展しました。

主な発見

1832年：ヒラエオサウルス（イギリス）
1889年：ノドサウルス（北米）
1902年：エウオプロケファルス（北米）
1908年：アンキロサウルス（北米）
1930年代：ピナコサウルス（アジア）

第二次世界大戦後には、タラルルスやサイカニア（アジア）、サウロペルタやシルヴィサウルス（北米）など、より完全な化石が発見され、曲竜類の全体像がより鮮明になりました。1980年代には、オーストラリア[[大陸]]初の曲竜類であるミンミ、南極大陸初のアンタークトペルタが発見され、生息範囲の広さが明らかになりました。1990年代以降は、中国からティアンゼノサウルスやリャオニンゴサウルスなど、多数の化石が発掘され、研究が加速しています。

分類

曲竜類は、装盾類というグループに属し、剣竜類と近縁です。曲竜類の中は、ノドサウルス科とアンキロサウルス科の2つの主要な科に分類されます。

ノドサウルス科：細長い頭部と、肩に大きなスパイクを持つのが特徴です。
アンキロサウルス科：丸い頭部と、尾にハンマー状の骨を持つのが特徴です。

ただし、曲竜類内部の系統関係については未解明な部分も多く、現在も活発な議論が続いています。

進化

曲竜類の起源はまだ明らかになっていませんが、剣竜類との共通の祖先を持つと考えられています。中期ジュラ紀には出現し、白亜紀にかけて多様化しました。装甲の発達は、捕食者から身を守るための適応と考えられています。

古生物学

曲竜類は、さまざまな環境に適応して生息していました。砂漠から湿潤な森林まで、多様な環境でその化石が発見されています。植物食性であり、シダ類やソテツ類などの植物を食べていたと考えられています。

解剖学的特徴

体格：がっしりとした四足歩行で、短い四肢を持ちます。
頭部：頑丈で幅広く、鼻腔が大きいのが特徴です。
歯：小さく、植物をすりつぶすのに適した形状をしています。
* 装甲：背中と側面を覆う骨質の板で、身を守るための役割を果たします。ノドサウルス科では、これは隣接するプレート同士が融合しているためで（3列目も存在した）、アンキロサウルス科では一般的に、装甲は別の骨の帯の上部に融合しています。

食性と摂食

曲竜類は、地面近くの植物を食べていたと考えられています。大きな舌骨の化石が見つかっており、長く柔軟な舌を持っていたことが示唆されています。

発声

2023年には、ピナコサウルス・グランゲリの喉頭化石に基づき、鳥の鳴き声のような発声をしていた可能性が報告され、コミュニケーション手段や社会性に関する研究が期待されています。

曲竜類は、その独特な外見と生態で、恐竜の中でも特に魅力的なグループです。今後の研究により、その進化や生態がさらに明らかになることが期待されます。

もう一度検索