餌

餌：動物を誘うもの、捕らえるもの、そして比喩としての意味

餌とは、動物を飼育したり、捕獲したりするための食物です。英語ではベイト（bait）と呼ばれ、動物が自ら探し求める食料という意味も含まれる場合がありますが、国語辞典によっては、この意味は掲載されていません。また、「餌生物」や「餌資源」といった表現は、「食物資源」や「採食資源」とするのが適切という指摘もあります。

漢字の語源と本来の意味

漢字の「餌」は、元々は餅の一種、あるいは一般的に食べ物全般を指していました。この意味は、「食餌」や「薬餌」といった熟語に残っています。

飼育における餌：飼料と給餌方法

人間が飼育する動物は、家畜、実験動物、愛玩動物など様々な種類があり、それぞれの動物に適切な餌を与える必要があります。家畜などに与える餌は一般的に飼料と呼ばれ、牛馬などに与える刈り取った牧草や干草は飼葉（かいば）と呼ばれます。

給餌方法には、動物が常に餌を摂取できる状態にする不断給餌法と、1日の摂取量を制限する制限給餌法があります。実験動物では、マウスやラットなどの小型げっ歯類は不断給餌法が一般的ですが、マーモセットなど、少量ずつ何回かに分けて餌を食べる習性を持つ動物には、その習性を考慮した給餌方法が必要です。一方、モルモットやウサギなどは、栄養の過剰摂取を防ぐため、制限給餌法が用いられることが多いです。

捕獲における餌：罠とベイトトラップ

箱罠や囲い罠などの罠では、動物を誘き寄せるために餌が用いられます（くくり罠などは餌を使用しません）。動物を誘引して捕獲する罠はベイトトラップと呼ばれ、米ぬか、野菜、濃厚飼料、粗[[飼料]]などが餌として用いられます。なお、罠の使用には法規制が設けられている場合もあります。

釣り餌：付け餌と撒き餌

釣りにおいては、魚を誘うために餌を用いる餌釣りと、ルアーなど疑似餌を用いる釣りがあります。餌釣りでは、釣り針に餌を付ける付け餌と、魚をおびき寄せるために撒く撒き餌（コマセ）があります。

付け餌には、海釣りではイソメ、魚の切り身、オキアミ、生き餌、塩漬けの魚など、多様な餌が用いられます。練り餌やボイリーなども使用されます。渓流釣りでは、トビケラなどの水生昆虫の幼虫や成虫、ミミズ、サシ、ブドウ虫、イクラなどが用いられます。撒き餌は、船や磯、堤防などから撒いて魚を集めるための餌で、魚の種類によって適切な餌を選びます。

微生物を餌で採取する方法は釣り餌法と呼ばれています。

比喩としての餌

餌は、比喩的に、人を誘惑する際に用いる品物や報酬などを指すこともあります。

関連事項

餌に関連する事項として、採餌（採食）行動、飼い葉桶、餌袋、バードフィーダー、水桶、餌付け、繁殖期の給餌行動（雄から雌への給餌）、貯[[食行動]]、マスト（野生動物や家畜の餌となる果実の総称）、防除、殺虫剤（餌に混ぜ込むベイト剤）などがあります。

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