高津川

高津川

高津川（たかつがわ）は、島根県西部の山間部を源流とし、日本海へと注ぐ一級河川です。その特徴は、本流・支流を含めてダムが一つも存在しないこと。これは、全国の一級河川の中でも非常に珍しい例です。上中流域には大規模な市街地が少ないため、水質が非常に良く、日本有数の清流として知られています。毎年、多くの釣り人が鮎を求めて訪れます。また、地域住民にとっては、古くから生活に密着した川として、その恵みを受けてきました。

地理

高津川は、鹿足郡吉賀町田野原に端を発し、津和野町日原、益田市を流れ、日本海へと注ぎます。この流域には、豊かな自然が残されており、四季折々の美しい景観を楽しむことができます。

水源祭と水郷祭

毎年6月には、吉賀町で「水源祭り」が開催され、川への感謝と恵みを祝います。また、8月第1土曜日には、益田市で「水郷祭」が開催され、花火大会や灯篭流しなどが行われ、多くの人々で賑わいます。

放し鵜飼

かつては、日本で唯一のカワウを使った「放し鵜飼」が行われていましたが、近年ではその技術を継承する人がいなくなり、途絶えてしまいました。

食文化

高津川は、アユの宝庫としても知られ、流域ではアユを使った様々な料理が親しまれています。特に、焼き鮎を乾燥させて出汁をとった雑煮は、「石見風雑煮」として有名です。この雑煮は、観光客向けの料理としてだけでなく、家庭料理としても長く受け継がれています。

名前

「高津川」という名前の由来ははっきりとはしていませんが、万葉集に登場する柿本人麻呂の歌に詠まれた「高角山」（たかつのやま）との関連性が指摘されています。この歌は、古代から高津川が人々に深く関わってきたことを示唆しています。

歴史

高津川の歴史は古く、戦国時代の武将である毛利元就も、家臣から「高津川の干鮎」を献上されたという記録が残っています。当時から、高津川は水産資源が豊富であり、地域経済を支える重要な役割を果たしていました。江戸時代には、アユ漁をめぐって漁師同士の争いが起こり、藩が仲裁に入ったという逸話も残っています。また、河口付近には津和野藩の塩田があったとされています。

河川清掃と河川整備

現在でも、毎年5月第3週の日曜日には、地域住民による河川清掃が行われています。また、2006年には、河川整備の長期計画である「河川整備基本方針」が策定され、国や自治体によって河川改修が進められています。しかし、2022年には、台風14号の影響で、吉賀町付近で越水による氾濫が発生し、田畑の一部が浸水しました。

伝説

高津川には、いくつかの伝説が残されています。

田野原の一本杉には、出雲から逃げてきたヤマタノオロチの魂が宿り、そこから水が湧き出て高津川になったという伝説
地元有綱には、4mを越す大蛇が戦国武将によって退治されたという伝説
日原の下瀬頼豊が、川に潜った大蛇を追い払ったという伝説

これらの伝説は、高津川が古くから地域の人々にとって畏怖の対象であり、特別な存在であったことを示しています。

流域の自治体

高津川が流れる主な自治体は、以下の通りです。

島根県鹿足郡吉賀町
島根県鹿足郡津和野町
島根県益田市

支流

高津川には、以下の支流があります。

高尻川
福川川
津和野川
匹見川

橋梁

高津川には、多くの橋が架かっています。その一部を以下に示します。

鴨島大橋
高津大橋
山陰本線橋梁
高角橋：土木学会選奨土木遺産にも選ばれた美しいアーチ橋
飯田橋
飯田角井大橋
西益田大橋
安富橋
金地橋
向横田橋
神田下橋
神田大橋
三星橋
添谷橋
下小瀬橋
青原橋
曽庭橋
吉賀川橋梁
脇本大橋
口屋橋
旭橋
法師橋
日原大橋
犬戻橋
円の谷橋
新左鐙橋
睦橋
万瀬大橋
万瀬橋
可部橋
釣川橋
甲島橋
杉山橋
古迫橋
小野原橋
柿木大橋
相生橋
柳原橋
黒瀬橋
月瀬橋
向津橋
殿明橋
桟敷橋
新桟敷橋
七村橋
抜月橋
新抜月橋
七日市橋
坂折一号橋
吉原橋
広尾橋
重藤橋
桜橋
河口橋
谷尻橋
塔尾橋
八王子橋
落合橋
五味田橋
旧ＪＲ鉄道橋
八ケ迫橋
有飯橋
有網橋
畑詰橋
沖場橋
重則橋
上高津川橋
林橋
利光橋
下高津川橋
重則親迫１号橋
向畑橋
蔵木橋
蔵木橋側道橋
無名橋
本蔵木橋
樋口山橋
新田野原橋
（水管橋）
古屋敷橋
田野原高架橋

この他にも多くの橋が架かっており、地域住民の生活を支えています。

脚注

高津川は、その美しい景観と豊かな生態系から、多くの人々に愛されています。流域の人々にとって、高津川は生活用水や農業用水としてだけでなく、心のよりどころともなっています。

外部リンク

高津川の恵
ayuの飼育
* 高津川が清流日本一となりました（BOD値による上位諸河川の水質状況）

もう一度検索