鬼神

鬼神（きじん、きしん、おにがみ）

鬼神は、音読みでは天地万物の霊魂や神々を意味し、訓読みでは目に見えない精霊や荒々しい神を指します。本記事では、中国と朝鮮半島における鬼神の概念と特徴について解説します。

中国における鬼神

中国では、鬼神は対照的な2つの霊、鬼と神を指します。

鬼（き）: 生者に災いをもたらす霊であり、悪鬼として現れます。鬼は、人が持つ魄（はく）の死後の姿であり、魄は肉体を司る陰気の霊です。横死や祀る者のいない場合に悪鬼となり、人に祟ります。
神（しん）: 生者に福をもたらす霊であり、善神として現れます。神は、人が持つ魂の死後の姿であり、魂は精神を司る陽気の霊です。魂は天に昇り、神や神霊となります。

また、鬼神は天地万物の創造・変化・消滅に関わる、人知の及ばない霊妙な働きを指すこともあります。

朝鮮半島における鬼神

朝鮮半島の民間信仰における鬼神は、人に宿る霊や精霊、神明とは異なり、宿る対象を持たない孤立した存在です。

鬼神の特徴は以下の通りです。

姿: 腰から下が障子紙の服で、足は痩せ細り、にかわのようで骨だけ残った姿をしている。
状態: 病を得て死ぬ身の上であり、神明の前で立ちすくむほど力が弱い。
性質: 人が与える食べ物におとなしく話を聞くが、意地悪をするものもいる。
行動: 昼間は空中でふらふらし、夜は湿った場所を探して体を休める。古木を住みかにすることが多い。

鬼神は人家を訪れることがあり、人は塩や豆を撒いて侵入を防ぎます。住みかは藪の中や土の中、池、井戸端など湿った場所で、自由に出入りできます。家に入ると食べ物を提供されて去りますが、白昼に石を投げたり、猟犬の吠える声や口笛を真似て強風を起こしたり、夜には道を通る人を怖がらせたりします。鬼火（トッケビの火）と呼ばれる火を灯し、人々を恐れさせます。

鬼神は時に賢く、国や家族の滅亡を予言したり、遺失物の在り処を知らせたりしますが、基本的には強い存在に追われる身です。疫病神を追い払ったとされる処容のような強い人物を描いたお守りの前では立ちすくみ、追い払われる存在です。強い鬼神は弱い鬼神を殺害することもあります。神明も、居場所がなかったり、供え物をもらえないと鬼神になることがあります。

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