鶴丸

鶴丸（つるまる）

鶴丸は平安時代に製作された日本刀、特に「太刀」として知られています。この刀は、皇室の私有財産とされ、宮内庁侍従職の下で大切に管理されています。文化財における正式名称は「太刀 銘国永（名物鶴丸）」で、管理される際には「山城国国永御太刀」という名前が使用されます。このように、鶴丸は文化遺産として深い歴史を持っています。

概要

幾つかの説がある中で、鶴丸の刀工は平安時代の名刀工・国永とされています。「鶴丸」という名前の由来ははっきりしていませんが、以前に刀身が収められていた太刀拵には鶴の模様が蒔絵で施されていたため、その名が付けられたと言われています。ただし、その太刀拵は現存していません。「享保名物帳」では、「鶴丸の由来には古い拵に伝わる書付が含まれているが、詳しいことは分からない」との記録が残っています。

鎌倉幕府が神社に奉納する太刀にはしばしば鶴丸の紋が施されており、その後この刀は安達氏から北条氏に渡り、没後は神社に奉納されたという説があります。

江戸時代には仙台藩主・伊達家が鶴丸を所有しました。特に1704年、4代藩主・伊達綱村から養嗣子・5代藩主・伊達吉村へと贈答されたことが記録の一部です。また、吉村の四男である伊達宗村が藩主になる際にも、鶴丸は特別な贈り物として扱われました。鶴丸は伊達家所有の際、引両紋の金具と蒔絵が施された鞘の太刀拵と共に伝えられ、その後もこの状態で保存されてきました。

ただし、伊達家に至るまでの伝来には様々な伝説があり、それぞれに矛盾があるため、詳細は不明な部分が多いです。「享保名物帳」には、名物の一つとして鶴丸の記載があります。

本刀は1901年、明治天皇が仙台に巡幸した際、14代藩主・伊達宗基から天皇に献上されました。明治天皇の所有となった日本刀の一部は、大正天皇、昭和天皇を経て国庫に納められましたが、鶴丸は特別に相続税法に基づく非課税財産として、上皇明仁に相続されました。鶴丸は年間の宮中祭祀においても重要な役割を果たしており、特に毎年の歳旦祭では必ず使用されることになっています。

刀身の特徴

この刀の刃長は78.63センチメートルで、刀身の反りは2.73センチメートル、茎の反りは0.30センチメートルです。元幅は2.73センチメートル、先幅は1.52センチメートル、切先長は2.27センチメートル、元重は0.67センチメートル、先重は0.39センチメートル、茎の長さは18.18センチメートルを測ります。その地鉄は小板目肌が非常に良好で、刃文は直刃風に小さな乱れを見せています。刃文には小丁子が交わることもあり、特徴的な雉子股茎が見られる点も印象的です。

国永の刀の中でも、鶴丸は稀少な作品であり、現存する国永の刀のなかで最も優れているという評価を得ています。東京国立博物館の研究員である原田一敏氏は、その質の高さを特に評価しています。鶴丸は日本の刀剣の中で特別な位置を占めており、日本の文化や歴史においても重要な象徴となっています。

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