鶴亀
能の演目『鶴亀』は、天下泰平と国家の長久を祈る、祝賀の意が込められた作品です。この演目は、能の現行演目の中でも特に短いもので、能に初めて触れる人々の入門曲としても知られています。
シテ： 皇帝
ツレ（または子方）： 鶴、亀
ワキ： 大臣
ワキツレ： 従臣
舞台は、新春の唐の都の朝廷です。年に一度の四季の節会（季節の変わり目に行われる祝祭）が催され、絢爛豪華な宮殿には皇帝をはじめ、多くの役人や貴族、そして民衆が集います。
儀式が終わり、鶴と亀が登場し舞を披露します。その舞は皇帝の長寿を祝うものであり、皇帝は大変喜びます。その後、皇帝は自ら舞楽を奏で、長生殿へと戻っていきます。この一連の場面は、国家の繁栄と平和、そして皇帝の長寿を願う、おめでたい内容となっています。
この演目の中で特に祝言でよく使われるのは、以下の一節です。
この部分は、宮殿の美しさを歌い上げ、皇帝の恵みに対する感謝の気持ちを表現しています。
以下は、宝生流による『鶴亀』の全曲の歌詞の一部です。
シテ： それ青陽乃春になれば。四季の節会の事始め
ワキ： 不老門にて日月乃。光を天子の叡覧にて
シテ： 百官卿相に至るまで。袖をつらね踵をついで
ワキ： 其数一億百餘人
シテ： 拝をすゝむる万戸の声
ワキ： 貴一同に礼する其音は
シテ： 天に響きて夥し
地： 庭の砂ハ金銀の。庭の砂ハ金銀の。玉を連ねて敷妙の。五百重の錦や瑠璃の枢。シャコの行桁瑪瑙乃橋。池の汀の鶴亀は。蓬莱山も餘処ならず。君の恵ぞありがたき。君の恵ぞありがたき。
ワキ： いかに奏聞申し候。毎年の嘉例のごとく。鶴亀に舞せられ。其後月宮殿にて舞楽を奏せられうずるにて候
地： 亀ハ万年の齢を経て。鶴も千代をや。重ぬらん。
地： 千代のためしの数々に。千代のためしの数々に。何をひかまし姫小松。緑の亀も舞ひ遊べば。丹頂の鶴も一千年の。齢を君に授け奉り。庭上に参向申しければ。帝も御感の餘りにや舞楽乃秘曲ハおもしろや
地： 月宮殿の白衣の袂。月宮殿の白衣の袂の色々妙なる花の袖。秋ハ時雨の紅葉の葉袖。冬ハ冴えゆく雪の袂を。ひるがへす衣も薄紫の。雲の上人゛の舞楽の声々゛に霓裳羽衣乃曲をなせば。山河草木國土ゆたかに千代萬代と。悦び給へば官人駕輿丁御輿を早め。君の齢も長生殿に。君の齢も長生殿に。還御成るこそ。めでたけれ
この歌詞からも、この演目が祝賀に満ちたものであることがわかります。
玄宗 (唐): 『鶴亀』に登場する皇帝は、必ずしも玄宗であるとは限りませんが、玄宗に擬せられることが多いです。
日光東照宮: 日光東照宮の奥の院にある奥宮（家康の墓所）の拝殿前には、鶴亀の像が配置されています。これは、鶴亀が長寿や吉祥の象徴として扱われていることの表れと言えるでしょう。
『鶴亀』は、その短い上演時間の中に、平和への祈りや長寿を願う気持ちが込められた、非常に祝祭的な演目です。
登場人物
シテ： 皇帝
ツレ（または子方）： 鶴、亀
ワキ： 大臣
ワキツレ： 従臣
舞台背景とあらすじ
舞台は、新春の唐の都の朝廷です。年に一度の四季の節会（季節の変わり目に行われる祝祭）が催され、絢爛豪華な宮殿には皇帝をはじめ、多くの役人や貴族、そして民衆が集います。
儀式が終わり、鶴と亀が登場し舞を披露します。その舞は皇帝の長寿を祝うものであり、皇帝は大変喜びます。その後、皇帝は自ら舞楽を奏で、長生殿へと戻っていきます。この一連の場面は、国家の繁栄と平和、そして皇帝の長寿を願う、おめでたい内容となっています。
祝言での引用
この演目の中で特に祝言でよく使われるのは、以下の一節です。
庭の砂ハ金銀の。
庭の砂ハ金銀の。
玉を連ねて敷妙の。
五百重の錦や瑠璃の枢。
シャコの行桁瑪瑙乃橋。
池の汀の鶴亀は。
蓬莱山も餘処ならず。
君の恵ぞありがたき。
君の恵ぞありがたき。
この部分は、宮殿の美しさを歌い上げ、皇帝の恵みに対する感謝の気持ちを表現しています。
全曲（宝生流による）
以下は、宝生流による『鶴亀』の全曲の歌詞の一部です。
シテ： それ青陽乃春になれば。四季の節会の事始め
ワキ： 不老門にて日月乃。光を天子の叡覧にて
シテ： 百官卿相に至るまで。袖をつらね踵をついで
ワキ： 其数一億百餘人
シテ： 拝をすゝむる万戸の声
ワキ： 貴一同に礼する其音は
シテ： 天に響きて夥し
地： 庭の砂ハ金銀の。庭の砂ハ金銀の。玉を連ねて敷妙の。五百重の錦や瑠璃の枢。シャコの行桁瑪瑙乃橋。池の汀の鶴亀は。蓬莱山も餘処ならず。君の恵ぞありがたき。君の恵ぞありがたき。
ワキ： いかに奏聞申し候。毎年の嘉例のごとく。鶴亀に舞せられ。其後月宮殿にて舞楽を奏せられうずるにて候
地： 亀ハ万年の齢を経て。鶴も千代をや。重ぬらん。
地： 千代のためしの数々に。千代のためしの数々に。何をひかまし姫小松。緑の亀も舞ひ遊べば。丹頂の鶴も一千年の。齢を君に授け奉り。庭上に参向申しければ。帝も御感の餘りにや舞楽乃秘曲ハおもしろや
地： 月宮殿の白衣の袂。月宮殿の白衣の袂の色々妙なる花の袖。秋ハ時雨の紅葉の葉袖。冬ハ冴えゆく雪の袂を。ひるがへす衣も薄紫の。雲の上人゛の舞楽の声々゛に霓裳羽衣乃曲をなせば。山河草木國土ゆたかに千代萬代と。悦び給へば官人駕輿丁御輿を早め。君の齢も長生殿に。君の齢も長生殿に。還御成るこそ。めでたけれ
この歌詞からも、この演目が祝賀に満ちたものであることがわかります。
関連事項
玄宗 (唐): 『鶴亀』に登場する皇帝は、必ずしも玄宗であるとは限りませんが、玄宗に擬せられることが多いです。
日光東照宮: 日光東照宮の奥の院にある奥宮（家康の墓所）の拝殿前には、鶴亀の像が配置されています。これは、鶴亀が長寿や吉祥の象徴として扱われていることの表れと言えるでしょう。
『鶴亀』は、その短い上演時間の中に、平和への祈りや長寿を願う気持ちが込められた、非常に祝祭的な演目です。
もう一度検索
【記事の利用について】
タイトルと記事文章は、記事のあるページにリンクを張っていただければ、無料で利用できます。
※画像は、利用できませんのでご注意ください。
【リンクついて】
リンクフリーです。