鶴峯戊申

鶴峯戊申の生涯と業績

鶴峯戊申（つるみね しげのぶ、1788年8月23日 - 1859年9月20日）は、江戸時代後期に活躍した国学者です。彼は豊後国臼杵（現・大分県臼杵市）にて生まれ、八坂神社の神主である鶴峯宜綱の子として育ちました。戊申は、数々の著作を通じて学問に寄与し、特に国語文法の分野で重要な役割を果たしました。彼は享年72で、江戸にて生涯を閉じました。

名前と称号

彼の名前は、明治21年に発行された書物『襲国偽僣考』の奥付には「海西鶴峯戊申季尼」と記されています。ここで、「海西」が号であり、「季尼」が字とされています。通称は左京、和左治、彦一郎など多岐にわたります。また、別の字には世霊、別の号には皐舎と中橋があります。

学問的業績

鶴峯戊申の著作の中で特に注目すべきは、『語学新書』です。これはオランダ語文法書に倣って編纂されたものであり、日本における近代的な国語文法書の先駆けとされています。この著作は国語学の発展に大きな影響を与えました。

彼の業績はその他にも多岐にわたり、『襲国偽僣考』や『鍥木文字考』、『嘉永刪定神代文字考』など、いずれの著作も彼の深い知識と独自の見解に基づいています。それぞれの著作には、当時の日本の文化や歴史に関する貴重な情報が載せられており、今なお学者たちの研究材料となっています。

主な著作一覧

• - 襲国偽僣考
• - 鍥木文字考
• - 嘉永刪定神代文字考
• - 天御柱考証
• - 古義神代考
• - 本教異聞
• - 語学新書
• - 臼杵小鑑
• - 海防秘策乾巻
• - 中将棊絹篩

『襲国偽僣考』の内容

戊申の著書の一つである『襲国偽僣考』では、倭人の邪馬台国が記紀に記される熊襲であり、卑弥呼はその国の女首長であるとの主張が展開されています。彼は熊襲の国を襲国と呼び、その元号の痕跡が「麗気記私抄」や「海東諸国記」、「如是院年代記」などの歴史文献に見られると論じました。ただし、これらの記録が金石文として実際に確認された例はなく、後世の偽作であるとする見解も存在します。

このように、鶴峯戊申はその時代における日本の学問の発展に貢献し、多くの知識と視点を後世に残した重要な国学者でありました。彼の業績は後の学者たちに影響を与え、現代においても評価されています。

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