鹿鳴館について
鹿鳴館(ろくめいかん)は、
1883年に築かれた日本の西洋館で、欧化政策の一環として外務卿・
井上馨の指導の下に建設されました。この建物は国賓や外国の
外交官を迎える社交場として利用され、日本の
外交活動の中心地となりました。また、その時期を「鹿鳴館
外交」と呼び、
欧化主義が盛んだった
明治10年代後半は「鹿鳴館時代」と称されました。
建設の背景
当時、日本は
不平等条約の改正を目指しており、特に外国人に対する
治外法権の撤廃が重要な課題でした。しかし、日本の法制度が未熟であり、このため外国からの反発が強く、井上は欧化政策を強化する必要があると判断しました。彼は欧米風の社交施設を建設することで、日本が
文明国であることを外国に示そうとしました。鹿鳴館の建設場所は、旧
薩摩藩の装束屋敷跡に決まり、
1880年に着工し、3年後に完成しました。設計を担当したのは
お雇い外国人の建築家
ジョサイア・コンドルで、細やかなデザインが施された煉瓦造りの2階建ての建物でした。
鹿鳴館時代
鹿鳴館が落成した
1883年から
1887年までがいわゆる「鹿鳴館時代」とされ、この期間には多くの
舞踏会や国賓の接待が行われました。特に華やかな催しや行事が数多く実施され、
明治天皇の誕生日や天長節の祝賀会も行われました。また、
舞踏会に出席する際、
日本人は西洋のマナーやエチケットに不慣れで、時にはその様子を嘲笑する欧米の
外交官もいたとされます。このような状況の中で、ダンスの技術を持つ
芸妓や
高等女学校の生徒が
舞踏会に招かれ、その役割を果たしていたことも特徴的です。
業績と終焉
しかし、鹿鳴館をめぐる状況は変わり、
井上馨の辞任により
1887年の秋、鹿鳴館時代は終わりを迎えました。
条約改正の失敗や欧化政策への批判が高まった背景がありました。その後、鹿鳴館は
1890年から華族会館として利用されることになり、
1941年には取り壊されてしまいました。
鹿鳴館の影響と文化
鹿鳴館は
外交の重要な場所であっただけでなく、その後の日本の文化や
社交界にも影響を与えました。
1884年には「
東京倶楽部」という外国人との交流を目的とする会員制クラブが設立され、鹿鳴館で活動しました。また、毎年
11月29日は鹿鳴館の開館日を記念して「ダンスの日」として定められています。
取り壊しとその後の遺産
鹿鳴館は
1940年に取り壊しが計画され、実際に
1941年に解体されました。その際、内部の資料や
シャンデリアなどは散逸し、現在残されているものは少ないですが、取り壊し当時に外された階段や壁紙が保存されています。近年は鹿鳴館跡地にプレートが設置されており、訪れる人々がその歴史を学ぶ場所となっています。
結論
鹿鳴館はただの建物ではなく、
明治時代の日本の
外交・社交の象徴として、また欧化政策の重要な一環として機能し続けました。取り壊されて久しい今も、その名と影響が残る存在です。