黒い花びら

黒い花びら

『黒い花びら』（くろいはなびら）は、1959年7月に水原弘がリリースしたシングルで、代表曲の一つとして知られています。この楽曲は、東芝レコードから発売され、作詞を永六輔、作曲を中村八大が担当しました。水原弘にとってはデビューシングルであり、同年開催された第1回日本レコード大賞も受賞しました。

楽曲の背景

この曲は、ポール・アンカの楽曲「君は我が運命」を参考にして作られました。洋楽をメインにしてきた東芝レコードですが、『黒い花びら』は邦楽レコードとしては初めての作品でした。曲がヒットしたことで水原弘は1959年の第10回NHK紅白歌合戦に出場し、さらなる注目を集めました。

間奏部分のサクソフォーンは西村昭夫が演奏しており、多くのリスナーの記憶に残っています。また、楽曲は同名の映画の主題歌としても使用され、1960年に公開されました。映画でも水原弘が主演を務め、音楽だけでなく映像でも彼の名声は高まりました。

レコードの収録内容

シングルのB面は、東宝映画「青春を賭けろ」の主題歌にあたります。『黒い花びら』はこの映画の挿入歌でもあり、非常に重要な楽曲です。シングルには、オリジナル版に加えて昭和40年代に録音されたステレオ版も存在します。オリジナル版では男性によるバックコーラスが聴かれ、ステレオ版ではストリングスの音が強調されています。

制作の経過

楽曲の制作は、1959年の初めに東宝から依頼され、中村八大と永六輔が出会ったことから始まりました。東京都内での用事で出会った二人は、その場で音楽制作に取り掛かり、翌日にはロカビリージャンルの楽曲を10曲仕上げるという一夜限りの奮闘を繰り広げました。この中には『黒い花びら』を含む数々の名曲が含まれています。

当初、水原弘のデビュー曲はB面として発売される予定でしたが、先輩歌手の楽曲に問題が生じたため、急遽この楽曲がA面としてリリースされることになりました。当初はあまり注目されていなかったにもかかわらず、曲はヒットし、販売部数は100万枚に達しました。最終的に1959年の流行歌レコード売上で1位を記録しました。

映画化の経緯

1960年には、この名曲を題材として歌謡映画が制作されました。映画は『駅前シリーズ』を手掛けた東京映画によって製作され、水原弘が主演を務めました。この映画は67分のモノクロ作品で、音楽と映像が融合した形で楽曲の魅力を更に引き立てるものでした。

その後

『黒い花びら』はその後もさまざまなアーティストによってカバーされ、時代を越えた名曲となっています。水原弘の魅力が詰まったこの楽曲は、今なお多くの人々に愛されています。この曲の影響力は、音楽だけでなく日本の文化にも深く根付いていることがわかります。

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