龍口明神社

龍口明神社：鎌倉最古の神社と伝わる歴史と神秘に満ちた場所

鎌倉市腰越に鎮座する龍口明神社は、創建を538年とする説があり、鎌倉市内現存の神社としては最も古い歴史を誇ります。欽明天皇13年（552年）創建説もあり、その歴史の深さを感じさせます。

神々への信仰と由緒

主祭神は玉依姫命と五頭龍大神です。玉依姫命は神武天皇の母であり、海神族の祖先として、龍神として崇められてきました。一方、五頭龍大神は、江の島の弁財天に悪行を戒められた龍神と伝えられています。この龍神は改心し岩山となり、その龍の口にあたる岩上に村人が社を築き、白髭明神として祀ったことが、龍口明神社の始まりとされています。

さらに、養老7年（723年）、江の島で修行していた泰澄大師と慈覚大師が、夢の中で神々を視て木像を彫り、そのうち2体を白髭明神に奉納したと伝えられています。この時、神社の名が龍口明神社と定まったとされています。この木像、玉依姫命像（長さ約15cm）と五頭龍像（長さ約30cm）は、現在も神社のご神体として大切に祀られています。

鎌倉時代には、一遍上人が念仏勧化を行ったことが国宝『一遍聖絵』にも描かれ、歴史上重要な出来事として知られています。

幾度もの遷宮と現在の社

かつて龍口寺西隣に位置していましたが、安政2年（1773年）の行政区画変更や、鎌倉時代には刑場として使用された歴史などから、氏子たちは祟りを恐れ、長らく移転をためらっていました。

大正12年（1923年）の関東大震災で全壊した後、昭和8年（1933年）に再建されましたが、昭和53年（1978年）、氏子の強い要望により、江の島を望む現在地へと遷座しました。旧境内地は鎌倉市津1番地として飛び地として残されており、移転前の拝殿や鳥居などもそのまま残されています。

独特の祭祀と境内

毎年10月上旬の土日に例祭が行われ、神輿を江の島まで運ぶ「神輿渡御」という独特の行事が行われます。60年に一度の大祭では、五頭龍像を鎮座した神輿が渡御されます。

境内には拝殿の他に、経六稲荷の社や、道路拡張に伴い移転してきた6基の石塔（うち4基は庚申塔）があります。

アクセス

湘南モノレール西鎌倉駅から徒歩約10分、または西鎌倉駅から江ノ電バス新鎌倉山循環に乗車し、「龍口明神社前」で下車できます。新鎌倉山住宅地の急な坂道にあるため、アクセスには注意が必要です。

まとめ

龍口明神社は、創建から現在まで、数々の歴史的出来事や信仰を背景に、人々の生活と深く関わってきた神社です。鎌倉の古き歴史を感じ、神秘的な雰囲気に包まれたこの神社は、訪れる人々に静かな感動を与えてくれるでしょう。

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