「C」 (アルバム)

中山美穂デビューアルバム『C』：未来少女の瑞々しい感性と初恋の記憶

1985年8月21日、キングレコードより発売された中山美穂のデビューアルバム『C』は、彼女を象徴する一作として、今もなお多くのファンを魅了し続けています。同名のデビューシングルから約2ヶ月後のリリースとなり、CDは9月5日に発売されました。

アルバムのタイトル『C』は、長らく謎とされていましたが、2022年12月15日放送の『しおこうじのお台場フォーク村』で作詞家の松本隆氏によって“CLOSE”の“C”であると明言されました。このタイトルが示唆するように、アルバム全体を通して、初々しい恋の始まりや、甘酸っぱい青春の情景が繊細に描かれています。

帯コピーには「ただ今、お騒がせ中　未来少女、ひと夏のラブ・ストーリー」というキャッチコピーが踊ります。まさに、当時一世を風靡した中山美穂の勢いと、アルバムの持つ魅力を端的に表していると言えるでしょう。通常盤に加え、GOLD CD盤も存在し、異なる魅力を味わうことが出来ました。

収録されている楽曲は、松本隆、林哲司、筒美京平といったそうそうたる作詞作曲陣によるもの。岩里祐穂、宮原芽映、青木久美子など、才能豊かな作詞家たちが、中山美穂の透明感あふれる歌声に寄り添う歌詞を提供しています。

代表曲である表題曲「C」に加え、B面曲として収録された「スピード・ウェイ」、そして「センチメンタル通信」「SEE THROUGH LOVE」「海を感じる瞬間」「あいつ」「ロンリー・バースデイ」「Last Drive」「ガラスの雨」と、バラエティに富んだ楽曲が並んでいます。これらの楽曲は、それぞれの作詞家、作曲家、編曲家の個性と、中山美穂の若いながらも確かな歌唱力が融合し、アルバム全体に独特の輝きを与えています。

『C』は、単なるデビューアルバムにとどまらず、中山美穂というアーティストの出発点、そして80年代の音楽シーンを彩る重要な作品と言えるでしょう。

その後も、『C』は何度も再発され、リスナーに愛され続けてきました。1989年にはGOLD CDとして完全限定盤が、1992年には廉価盤がリリースされました。そして、2015年にはデビュー30周年を記念した『30th Anniversary Original Album Collection』の一環として、リマスタリング仕様で再発売。さらに、2020年にはサブスクリプションサービスでの配信も開始され、現代の音楽リスナーにもアクセスできるようになりました。

これらの再発は、単なる再リリースではなく、時代を超えて愛される『C』の価値を再確認する機会でもありました。当時を知る世代にとっては懐かしい思い出を呼び起こし、若い世代にとっては新鮮な感動を与え続ける、まさにタイムレスな魅力を持つアルバムです。

『C』は、中山美穂の才能と、それを支えたクリエイターたちの力量が凝縮された作品。80年代の音楽シーンを知る上でも必聴のアルバムであり、彼女の音楽人生の輝かしいスタートを飾るにふさわしい、記念碑的な作品として、これからも語り継がれていくことでしょう。

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