あかつき (探査機)

あかつき（PLANET-C）

概要

あかつきは第24号科学衛星であり、正式な計画名は「PLANET-C」または「VCO（Venus Climate Orbiter）」です。この探査機はJAXA（宇宙航空研究開発機構）宇宙科学研究所によって設計され、NEC東芝スペースシステムが開発を担当しました。あかつきは特に金星の大気に関する詳細なデータを集めるために、様々な波長の観測カメラを搭載し、金星の気候を立体的に記録することを目的としています。すでに探査を行ったすいせいおよびのぞみと同様に、あかつきはPLANETシリーズの一環として位置づけられています。

2010年5月21日に種子島宇宙センターから発射され、金星周回軌道への投入は同年12月7日を予定していましたが、主エンジンの不具合によりそれが実現しませんでした。あかつきは当初、太陽を周回する軌道に留まることになりますが、その後、姿勢制御用エンジンを使用して金星近傍へと再接近し、6年後の2015年12月7日に見事に金星周回軌道へ再投入されました。

計画概要

あかつきの主な目的は、金星の大気に見られるスーパーローテーションと呼ばれる現象のメカニズムを解明することです。これは金星の大気の流れに関する惑星規模の高速風に関連した現象であり、従来の気象学では説明が難しいと言われています。これを理解することで、惑星の気候に関するより広範な知見が期待されています。また、赤外線を使用して金星の地表面や活火山の活動状況も調査し、地球から金星までの間の塵の分布の観測も行われます。

あかつきの設計は、当初予定されていた公転の長さの見直しを行ったため、約800日から2000日に延長され、より長い期間にわたって観測を行えることになりました。

構造と設計

あかつきは、はやぶさの技術を基に設計され、約500 kgの重量があります。姿勢制御にはモーメンタムホイールを利用し、エンジンには耐熱性の高いセラミックスが使われています。観測装置は、さまざまな種類のカメラを搭載し、地表からの赤外線放射や雲による散乱光を捉えています。特に、紫外線イメージャーや雷・大気光カメラを組み合わせることで、独自の大気現象を観測しています。

開発経緯

あかつきの開発は2007年から始まり、もともとは2009年中に金星に到着する計画で進められましたが、さまざまな要因で2010年に打ち上げられました。この時、軽量な機体であったため、5つの小型副衛星も一緒に打ち上げられました。期待が高まる中、あかつきの名称が発表されたのは2009年10月で、広く公募される形で決定されました。

初期運用と通信状況

初期運用は順調に進み、予定通りにカメラによる撮影が行われました。しかし、金星周回軌道へのマヌーバに失敗し、当初の計画は大きく修正されました。その結果、あかつきはスイングバイを利用して金星へ近づく形となりました。2015年には新たな計画のもと、金星の周回軌道に無事に再投入され、その後も継続的な観測に成功しました。

結果と成果

あかつきは、金星の大気に関する数多くの新しいデータを収集し、2020年にはスーパーローテーションの解明に貢献する論文が発表されました。あかつきは今も金星の周回を続け、未だに新しい発見が期待されています。

今後の展望と通信途絶

現在、あかつきは延長運用中ですが、通信の確立が困難な状況が続いています。将来的な通信復旧の見込みも立たず、運用終了時期が近づいていると予測されています。これにより、あかつきのミッションから得られた成果がどのように活用されていくのかが注目されています。

あかつきは、宇宙探査の重要な一歩を踏み出すミッションとして位置づけられており、金星の謎を解き明かすための貴重な情報を提供し続けています。

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