あづま (訓練支援艦)

あづま（JDS Azuma, ATS-4201）

あづまは、海上自衛隊の訓練支援艦であり、その艦名は日本の名所・吾妻峡に由来しています。この艦艇は、専門の訓練支援を目指して新たに建造されたもので、世界的に見ても非常に珍しい存在です。

来歴

1957年、海上自衛隊は無人標的機「ターゲット・ドローン」の運用を開始しました。この年、アメリカ海軍よりKD-2R-3低速標的機が10機供与され、横須賀地方隊に配属された警備艇「はまぎく」が無人標的機の母艇として改装されました。他にもKD-2R-5が導入されましたが、後部の甲板が狭く、標的機の発射作業が困難であることから、1964年にはくす型[[護衛艦]]「くす」が無人標的機母艦として新たに選定されました。

その後の経空脅威の高まりにより、新世代の対空武器システムの整備が進む一方で、KD-2R低速標的機では十分な訓練環境を提供できないという課題が浮上しました。そこで、アメリカで運用されていた高速標的機BQM-34「ファイアビー」の導入が計画され、艦上で運用するプラットフォームとしてあづまが建造されることになりました。

設計

あづまは長船首楼型の船体設計を採用し、01甲板は船首楼甲板、主甲板は第1甲板と定義されています。主甲板の後方には、標的機の運用に必要な飛行甲板が確保されています。艦橋は2層構造で、航海艦橋や戦闘指揮所（CIC）を備え、デザインは強度と軽量化を考慮してコルゲート・パネルが使用されています。

また、艦の後部には高速標的機の格納庫や発射管制室が設けられ、安定した運用を実現するための減揺装置も搭載されています。この艦は商船構造を採用し、コスト削減も考慮されましたが、訓練に必要な機能も十分に備えています。

例え最大速力が18ノットとされ、標的機の回収に課題があったものの、主発電機とともに高性能のディーゼルエンジンを搭載しています。

装備

あづまは対空捜索レーダーAN/SPS-40を搭載し、対水上捜索レーダーにはOPS-16が用いられています。また、最低限の武器システムとしてMk.22 50口径3インチ砲や対潜艦から転用されたAN/SQS-11Aソナーも装備されています。

最も重要な装備として、BQM-34「ファイアビー」高速標的機が挙げられます。これは1970年に導入され、艦上からの発射が可能な設計となっていました。海上自衛隊では、この標的機が訓練の中心となり、多くの成功を収めました。1976年からは国産の改良型BQM-34AJが導入され、運用は拡充されました。

運用

あづまは、自衛艦隊に参加した後、長年にわたって対空・対水上射撃訓練に寄与してきました。しかし、武器システムがミサイルへと移行する中で、装備の陳腐化が進行しました。1989年には新たに「くろべ」が建造され、1999年には「あづま」は除籍されました。

艦歴

あづまは1968年7月に起工、1969年に進水し、同年11月に就役しました。約30年間の運用期間中に、約624,000浬の航程を記録し、様々な訓練支援任務に従事しました。

あづまは、日本の海上自衛隊における重要な艦艇であり、その役割は今なお記憶に刻まれています。

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