あにいもうと

『あにいもうと』の概要

概要

『あにいもうと』は、1934年に室生犀星によって発表された短編小説で、当時の文壇に強い影響を与えた作品です。この小説は『文藝春秋』の1934年7月号に初めて公表され、翌年に収められた『神々のへど』で広く知られるようになりました。また、同年には第1回文芸懇話会賞を受賞しています。

主人公とテーマ

物語の中心にいるのは、赤座もんという女性で、彼女のモデルは著者の養母である赤井ハツです。もんは、元々良好な関係にある兄妹として描かれていますが、妹の妊娠をきっかけに深刻な対立が生まれます。作者はこの兄妹の複雑な愛情を描写し、家族間の絆と葛藤をテーマにしています。

映像化の歴史

『あにいもうと』は発表以来、3回にわたり映画化され、テレビドラマにも数度登場しています。各媒体で異なるキャストや演出によって、同じ物語が様々に語られてきました。

1. 映画化

• - 1936年版: 『兄いもうと』というタイトルで公開され、木村荘十二が監督した作品です。モノクロの映像で、竹久千恵子や丸山定夫などがキャストに名を連ねていました。
• - 1953年版: 成瀬巳喜男監督、京マチ子を主演に迎え、大映が製作・配給を担当。観客にも高く評価されました。
• - 1976年版: 東宝によって制作されたこの映画では、秋吉久美子がもん役を演じ、他に草刈正雄や大滝秀治が名を連ねています。この作品もキネマ旬報ベストテンに入るなど評価されています。

2. テレビドラマ化

この作品は、1958年からのテレビドラマ化も行われています。脚本家やキャストの違いはありますが、基本的なストーリーは踏襲されています。特に1972年版は、山田洋次脚本で人気シリーズ『男はつらいよ』のキャストが参画したことで話題となりました。2018年には大泉洋主演の特別ドラマとして再ドラマ化され、視聴率10.5%を記録しました。

まとめ

『あにいもうと』は、室生犀星の感受性豊かな描写によって兄妹の深い愛情や葛藤が巧みに表現されています。原作の持つ魅力が、様々な形で映像作品として息づいていることは、この物語の普遍性を示しています。今もなお多くの人々に愛され続けるこの作品は、兄妹のこれまでとは異なる新たな視点を提供してくれることでしょう。

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