あぶり餅

あぶり餅は、きな粉をまぶした親指ほどの餅を竹串に刺し、炭火で丁寧に炙った後、特製の白味噌だれを塗って仕上げた、香ばしい香りが食欲をそそる餅菓子です。また、串に刺して炙ったおかきや煎餅を指すこともあります。

特に有名なのは、京都市北区の今宮神社や右京区嵯峨の清凉寺、石川県金沢市の金沢五社の一つ、神明宮の周辺にある和菓子店です。中でも、今宮神社と深い関わりを持つとされる「かざりや」と「一文字屋」は、その長い歴史と伝統を守り続けています。

伝統的な製法では、まず餅を直径1.5〜1.8センチメートルほどの細長い形状に成形し、同じくらいの長さに切り分けます。この際、餅が手に付きにくくするために、きな粉を表面にまぶします。一つ一つ丁寧に竹串に刺し、炭火でじっくりと炙り焼き、最後に甘辛い味付け味噌などのタレをかけます。

あぶり餅に使われる竹串は、古くは祇園祭の際に使われた松竹の残りを再利用していたと伝えられています。現在では、今宮神社に奉納された斎串（いぐし）が用いられています。今宮神社で毎年4月の第2日曜日に開催されるやすらい祭では、鬼が持つ花傘の下に入ると厄除けのご利益があると言われており、あぶり餅を食べることも同様にご利益があるとされ、地元の人々や観光客に広く親しまれています。

あぶり餅は、その素朴な味わいと、厄除けのご利益があるとされることから、古くから人々に愛されてきた日本の伝統的なお菓子です。京都を訪れた際には、ぜひその歴史と風味を味わってみてください。

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