ありあけ (製菓業)

株式会社ありあけ：横浜銘菓「ハーバー」の物語

株式会社ありあけは、神奈川県横浜市に本社を置く製菓会社です。主力商品である「ありあけのハーバー」は、横浜を代表する銘菓として広く知られています。しかし、その歴史は順風満帆ではありませんでした。成功と挫折、そして復活劇を織りなす、ありあけのドラマを紐解いていきましょう。

創業から最盛期へ

1936年、新潟県出身の菓子職人、竹田文祐氏が横浜で和菓子店を創業したのが始まりです。その後、社長である竹田氏と夫人の二人三脚で事業は拡大。1954年には、餡を使った洋菓子「ロマン」を販売開始。のちに「ありあけのハーバー」と改名されたこの商品は、独特の風味が人気を呼び、横浜土産として広く親しまれるようになりました。1980年代にはテレビCMを展開し、全国的な知名度を獲得。「崎陽軒のシウマイ」と並ぶ横浜の代表的商品として、450名もの従業員を抱える神奈川県最大の製菓会社に成長しました。

バブル崩壊と倒産

しかし、バブル景気期における過剰投資が経営を圧迫。二代目の竹田弘社長は、テナントビル事業や直営店の拡大に注力した結果、本業の停滞を招いてしまいました。銀行からの借入金が増加し、1999年6月、有明製菓は倒産。約70億円もの負債を抱え、社員は全員解雇、工場や店舗は閉鎖・売却されました。「ありあけのハーバー」は、一旦市場から姿を消すこととなりました。

復活劇と新たな出発

倒産後、菓子卸売会社プレシアの会長であった藤木久三氏が「ありあけのハーバー」の商標権を取得。元従業員らとともに「ハーバー復活実行委員会」を結成し、2001年4月、念願の「ありあけのハーバー」復活販売を実現させました。2006年には株式会社ありあけが設立され、2007年に有限会社有明製菓と合併。現在も横浜を拠点に、お菓子作りを続けています。2016年には藤木氏がプレシアホールディングスの株式を売却しましたが、ありあけの株式は売却対象外であり、事業継続に影響はありませんでした。

商品と現在

「ありあけのハーバー」は、定番のダブルマロンやショコラクルミ、モンブランなど、様々なバリエーションが展開されています。その他にも、横濱ベイブリッジサブレや横濱スフレどらなど、横浜らしい商品も人気です。現在では、横浜市内を中心に複数の店舗を展開し、多くの人々に愛され続けています。近年は、旗艦店「ハーバーズムーン本店」のリニューアルなど、更なる発展を目指しています。

ありあけの歴史を彩る出来事

1936年: 横浜市鶴見区にて和菓子店として創業
1954年: 洋菓子「ロマン」（後の「ありあけのハーバー」）製造開始
1966年: 洋菓子「ロマン」を「ありあけのハーバー」に改名
1999年: 倒産
2000年: プレシアの出資により有限会社有明製菓設立、「ハーバー復活実行委員会」発足
2001年: 「ありあけのハーバー」復活販売
2006年: 株式会社ありあけ設立
2007年: 株式会社ありあけと有限会社有明製菓が合併
* 2024年: 旗艦店「ハーバーズムーン本店」リニューアルオープン

ありあけの物語は、創業者の情熱、そして復活への強い意志によって紡がれてきました。これからも、横浜の街を代表するお菓子として、人々に喜びと幸せを届け続けることでしょう。

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