ある女の詩

「ある女の詩」は、1972年11月10日に日本コロムビアから発売された美空ひばりのシングルです。この楽曲は、同年の『第23回NHK紅白歌合戦』で、美空ひばりが10年連続、通算13回目の大トリを務めた際に歌唱されたことで、広く知られるようになりました。紅組は見事優勝を果たし、平均視聴率は80.6%（関東地区、ビデオリサーチ社調べ）という、紅白史上2位の記録を打ち立てました。翌1973年には、実弟の不祥事により美空ひばりが出場辞退を表明したため、1979年の特別出演を除くと、この「ある女の詩」が彼女にとって最後の紅白歌唱曲となりました。

同年12月25日には、オリジナルアルバム『美空ひばり ある女の詩』が発売され、このアルバムにはシングルA面曲「ある女の詩」と、B面曲「思い出の鞄」を含む全12曲が収録されています。さらに1976年には、菅原文太主演の映画『バカ政ホラ政トッパ政』の主題歌として「ある女の詩」が使用され、再び注目を集めました。

シングルB面に収録された「思い出の鞄」は、ニッポン放送のラジオ番組『美空ひばりストーリー』の主題歌としても使用されました。この曲は、実弟であるかとう哲也が作曲を手がけており、「思い出を鞄につめて旅に出よう、歌を歌うために」という歌詞が、少女時代から苦労を重ねて歌い続けてきた美空ひばり自身の心情と重なり、多くの聴衆の心を捉えました。

収録曲

A面: ある女の詩
作詞：藤田まさと／作曲：井上かつお／編曲：青木望
B面: 思い出の鞄
作詞：保富康午／作曲：かとう哲也／編曲：佐々永治

アルバム『美空ひばり ある女の詩』（1972年12月25日発売）収録曲

1. ある女の詩
2. 鏡
3. ふるさとの駅
4. あの子の手紙
5. ある母に送る手紙〜青葉の笛（文部省唱歌）入り〜
6. 母
7. 思い出の鞄
8. 急行青森行き
9. 旅人
10. 新しい笛
11. ひばり仁義
12. 浪曲渡り鳥

この楽曲は、1972年という時代を彩っただけでなく、美空ひばりの歌手としての円熟期を代表する作品の一つとして、現在も多くの人々に愛され続けています。

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