いい旅、ときめき本線

『いい旅、ときめき本線』

『いい旅、ときめき本線』は、1980年10月5日から1981年12月27日までフジテレビ系列で放送された、クイズと紀行の要素を併せ持つ視聴者参加型番組です。放送時間は毎週日曜日の午前10時30分から11時までの30分間（日本標準時）でした。正式タイトルには「〜チャレンジ20,000km〜」（〜チャレンジにまんキロ）という副題が付けられており、当時の日本国有鉄道（国鉄）が推進していたキャンペーン「いい旅チャレンジ20,000km」に協賛した企画として誕生しました。

番組の成り立ち

この番組は、元々土曜日の午前10時15分枠で放送されていた『いい旅チャレンジ20,000km』が前身となっています。前身番組は、国鉄の全営業路線20,000kmの完乗を目指す子供たちを紹介する内容で、司会は大野しげひさが務めていました。しかし、放送時間の変更に伴い、番組はタイトルを一新して『いい旅、ときめき本線』と改題。内容もスタジオでのクイズ形式へと大幅なリニューアルを遂げ、視聴者参加型番組として再スタートを切ったのです。放送開始当初は主に首都圏での放送でしたが、1981年9月までは他の地域でもネット放送が行われていました。

形式とルール

番組の核となるのは、国鉄の各路線を旅するリポーターからの出題。その映像を見ながら、スタジオにいる芸能人と一般参加者によるペアが解答する形式が取られていました。これは視聴者参加型番組としての側面を強く持っていました。解答者は計4組のペアで構成され、各ペアには開始時に「5,000km」という仮想の持ち点が与えられます。スタジオセットは寝台列車の内装をイメージしており、解答者席は上段に芸能人、下段に一般参加者が座るというユニークな配置でした。

出題されるクイズは全6問で、全てVTR形式で行われます。第1、2、4、5問は三択問題です。まず下段の一般参加者が、持ち点の中から500km単位で賭け点額を乗車券型のフリップに書いて出します。続いて上段の芸能人が、解答を同じく乗車券型のフリップに書いて提示します。正解した場合は賭けた点数が持ち点に加えられますが、不正解の場合は賭け点が失われました。司会の押阪忍は、解答フリップが出される際に毎回「切符を拝見！」というお決まりのフレーズを口にしていました。

第3問と第6問は「ドンピシャゲーム」という特殊な問題です。提示された三つの選択肢（例えば、ある駅弁に関する問いなど）の中から、芸能人と一般参加者がそれぞれ好みのものを一つ選び、フリップに書いて回答します。このゲームで両者の回答が見事に一致した場合、第3問では3,000km、最終問題の第6問では5,000kmが追加されます。一致しなくても持ち点が減ることはありませんでした。ここでも押阪は「気持ち合わせて、切符を拝見！」と呼びかけていました。

番組の勝者は、最終的に最も多くの持ち点を獲得したチームとなります。優勝チームには「トップ賞」として、富士フイルム製の全自動カメラ（フイルム4本付き）、平和堂貿易が扱う『テクノス』ブランドのペアウォッチ、ITSテニスセット、そして日本旅行のギフト旅行券5万円分という豪華賞品が贈られました。惜しくも優勝を逃したチームにも「参加賞」として、タカイシのデイバッグ、三洋電機の「旅なかま」4点セット、富士フイルム製カセットテープ、そしてチャレンジアルバムが手渡されました。賞金は、獲得した持ち点に応じて支払われ、500kmから19,500kmまでは1,000kmあたり2,000円（つまり1kmあたり2円）でした。そして、目標である20,000kmを達成したチームには、特別に30万円という高額賞金が贈られました。中には、20,000km達成賞とトップ賞の両方を獲得するチームも存在しました。

出演者

番組の司会を務めたのは、ベテランアナウンサーの押阪忍です。解答者としては、一般からの参加者に加えて、近江俊郎、松岡きっこといったレギュラー解答者が名を連ねました。さらに、男性ゲスト1名と女性ゲスト1名が週替わりで登場し、固定の2名と合わせて芸能人解答者席を埋めました。

放送を彩った要素

番組は開始から1981年9月まで、富士写真フイルム（現：富士フイルムホールディングス）の一社提供によって支えられていました。しかし、同年10月以降は同社が別の番組のスポンサーとなったため、複数社の提供体制へと移行しました。

番組のテーマ曲としては、後期エンディングでヒポパタマスの歌う「僕らはレールウェイ」が使用されました。また、番組を盛り上げるBGMにも特徴がありました。特に20,000km賞達成時のジングルには、アニメ『ヤットデタマン』のエンディングテーマである「ヤットデタマン・ブギウギ・レディ」（作曲：山本正之）のイントロとラスト部分が編集されて使われたことがあります。さらに、優勝チームが決定した際に流れるファンファーレには、特撮番組『スペクトルマン』の後期オープニングテーマである「スペクトルマン・マーチ」（作曲：宮内國郎）が使用されるなど、他の番組からの流用も見られました。

制作

番組制作には、多数のスタッフが携わりました。構成作家として萩原津年武、望月敏、技術担当に菅原一夫、照明を植松良友、音響効果を長谷川龍が担当しました。美術面では、美術の江畑行彦、デザインの根本研二、美術進行の藤田弘がセットなどを手掛けました。VTR取材班には藤井信一、柴崎進、矢田目幸一らが名を連ねています。プロデューサーは前田利博、ディレクターは松尾利彦が務めました。制作協力は日本テレワークが担当し、制作著作はフジテレビでした。

いい旅、ときめき本線