いける本大賞

いける本大賞の概要

いける本大賞は、日本の文学賞として2010年に始まりました。この賞は「ムダの会」によって設立され、その目的は作り手の情熱を評価し、独自の視点で文学作品を楽しむことにあります。「ムダの会」は、定期的に編集者や文化・学芸記者などが集まり、出版に関する意見を交わす場を提供しています。その活動の一環として書評誌「いける本・いけない本」を発行しており、新しい視点から書籍の評価を行っています。

選考基準

いける本大賞の選考基準は、作品の中に作り手の「どうしてもこれだけは表現したい！」という思いがどれだけ込められているかに重きを置いています。この姿勢により、受賞作品は深い思索や感情が込められたものが多いです。特に人文書やノンフィクションが主な選考対象として扱われ、知識や視点を広げていく実質的価値のある作品が評価されます。

創設メンバーの影響

いける本大賞は設立当初から、元講談社の専務である鷲尾賢也が中心となり運営を進めていました。彼の急逝により、2014年には「ムダの会」が定期的に開催されることが困難となり、その結果、いける本大賞も残念ながら無期限の休止に入りました。この中断は熱心な支持者たちにとって大きな痛手となりましたが、その後の文学界には、新たな受賞作品が登場し続けています。

受賞作品と受賞者

第1回（2010年度）

• - 大賞

『人生一般二相対論』 (東京大学出版会) 作者:須藤靖
『近世考―西鶴・近松・芭蕉・秋成―』 (影書房) 作者:日暮聖
『宇宙は何でできているのか』 (幻冬舎) 作者:村山斉

第2回（2011年度）

• - 大賞

『赤紙と徴兵』 (彩流社) 作者:吉田敏浩
『コンニャク屋漂流記』 (文藝春秋) 作者:星野博美

• - 特別賞

「世界 (雑誌)」 (岩波書店)

第3回（2012年度）

• - 大賞

『「東京電力」研究　排除の系譜』 (講談社) 作者:斎藤貴男

• - 特別賞

シリーズ『昭和二十年』 (草思社) 作者:鳥居民

第4回（2013年度）

• - 大賞

『永続敗戦論　戦後日本の核心』 (太田出版) 作者:白井聡
『孤独なバッタが群れるとき　サバクトビバッタの相変異と大発生』 (東海大学出版会) 作者:前野ウルド浩太郎
『永山則夫　封印された鑑定記録』 (岩波書店) 作者:堀川惠子

第5回（2014年度）

• - 大賞

『大杉栄伝　永遠のアナキズム』 (夜光社) 作者:栗原康
『紙つなげ！　彼らが本の紙を造っている　再生・日本製紙石巻工場』 (早川書房) 作者:佐々涼子

いける本大賞は、その創設から多くの文学作品に道を開きました。作り手の思いを真摯に受け止めるこの賞は、今後も日本の文学界において重要な位置を占め続けることでしょう。

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