いすゞ・キュービック

いすゞ・キュービックバス

いすゞ自動車が製造・販売していた大型バス、「キュービック」は1984年に登場しました。このバスは、キュービックLVと9mバージョンのキュービックLTの2つのモデルから成っています。排出ガス規制に対応し、フルモデルチェンジされたことが特徴です。キュービックは、1995年のモデルチェンジによってKC-代に進化し、2000年5月には後継のエルガにバトンタッチする形で生産が終了しました。

標準車体の特徴

キュービックのボディは、川重車体工業によって設計されました。デザイン担当の山村真一氏は、フランスのバスデザインに着想を得ながら、独自のスタイルを確立しました。バスの前面には特有の1枚窓と三角固定窓があり、運転席からの視野を拡大させています。ワイパーにはオーバーラップ式が標準装備され、一部地域では平行連動式も採用されていました。

このバスは、スケルトン構造を採用しつつも、リベットを使用した外板接合部が多く見受けられます。初期のモデルは、フランスのベルリエ・PR100からインスパイアを受けたデザインが評価されました。1984年の登場時にはキュービックLVのみでしたが、LTは1985年から生産が開始されました。

モデルチェンジの歴史

1984年から生産されたキュービックは、1990年にはU-代としてのマイナーチェンジが行われました。この時期には、リベットレス化や窓枠の支持方法が見直されるなど、改良が進められました。さらに、1995年に改良を加えたKC-代ではエンジンが換装され、デザインも変更されました。このモデルでは、エンジンや冷房用のルーバーの形状も変更され、より現代的な印象を与えています。

特殊仕様と派生モデル

キュービックにはワンステップバスやノンステップバスなど、多様な派生モデルが存在しました。特に、1991年に東京都交通局向けに試作されたワンステップバスは、低床構造やグライドスライドドアを採用し、利便性を高めたモデルでした。1993年に正式な前中ワンステップバスが発売され、複数の事業者に導入されました。

一方、CNG車の導入も行われ、1994年からプロトタイプが登場しました。これにより、環境に配慮したバスとしても注目を集めました。

現在の状況と評価

キュービックは、その独自のデザインとバリエーションの豊かさから、バス業界において重要な位置付けを持っています。しかし、1990年代後半からはエルガにその役割を引き継ぐ形で製造が終了しました。現在はほとんどのキュービックが退役となっていますが、そのスタイルや機能性は多くの人々に記憶されています。

このように、いすゞキュービックは日本のバス文化において欠かせない存在であり、今なお愛着を持たれることが多い車両であると言えるでしょう。

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