いすゞ・フォワード

いすゞ フォワード

いすゞ自動車が製造する中型トラック「フォワード」は、日本国内だけでなく海外でも広く展開されています。その歴史は1966年に発売されたTY型に遡り、以来、技術革新を重ねながら進化を続けてきました。海外では主に「いすゞ・Fシリーズ」として知られ、南米ではシボレーブランドでも販売されています。北米では、フォワードのキャブとエンジンをGM製シャシーに搭載した車両が展開されています。

歴史

TY型 (1966年)

1966年5月、いすゞは初の中型トラックとしてTY型を発売しました。セミキャブオーバー型で、4t積みの平ボディとダンプの2種類がありました。直列6気筒3.6LのD370型エンジンを搭載。

初代 (1970年-1975年)

1970年4月、TR型が登場。直6・125psのD500型エンジンを搭載し、セミキャブオーバー型を採用。フルキャブとSキャブの2種類があり、「ムーミン」の愛称で親しまれました。1974年には中型車初のAT車を追加。1975年にフルキャブはフルキャブオーバー型にモデルチェンジしましたが、Sキャブは「フォワードS」として1986年まで生産されました。

2代目 (1975年-1985年)

1975年8月、ベッド付き車がフルモデルチェンジし、フルキャブオーバー型となりました。中型直噴ディーゼルエンジンの先駆けとなる145psの6BB1型エンジンを搭載。1979年には内外装を大幅に変更し、170psの6BF1型エンジンを搭載したFX-IIIを追加。装備も充実し、ターボエンジン搭載車も登場しました。1984年にはマイナーチェンジを行い、グリルデザインを変更。

3代目 (1985年-1994年)

1985年6月、3代目が登場。開発コード「840」から「ハ・シ・レ」の愛称が付けられました。グッドデザイン賞を受賞し、ATがオプション設定されました。1990年にはヘッドランプが異形2灯に変更され、エンジンは6HE1型に変更されました。1992年にはISUZUロゴが現在のものに変更されました。

4代目 (1994年-2007年)

1994年2月、4代目が登場。エンジンはSOHC方式に統一され、パワーシフトとHSAを標準装備。1999年にはターボエンジンがコモンレール式に変更されました。2002年にはクラッチレスMT「スムーサーF」が設定されました。2005年には新長期規制に対応したモデルが登場し、機械式AT「スムーサーFオートシフト」がオプション設定されました。

5代目 (2007年-2023年)

2007年5月、5代目が登場。エルフとの部品共有化が行われ、機械式AT「スムーサーFx」が標準装備されました。助手席用エアバッグとプリテンショナー付きシートベルトが設定され、新長期規制に対応しました。2010年にはポスト新長期規制適合車が登場し、ISO式ホイールに変更されました。2017年には平成28年排出ガス規制に適合し、先進安全装備が拡充されました。2021年にはマイナーチェンジを行い、安全性能が向上し、CNGモデルが廃止されました。

6代目 (2023年-)

2023年8月、6代目が登場。キャブはエルフと部品共有化されていますが、デザインは差別化されています。いすゞの新しいブランドアイデンティティ「ワールドクロスフロー」を採用。コモンアーキテクチャー戦略「I-MACS」を採用し、エンジン、トランスミッションなどをモジュール設計とすることで、多様なニーズに対応。安全性も向上し、先進安全装備が充実しています。2024年にはGVW15t超モデルも追加されました。

派生モデル

フォワードジャストン

フォワードのシャシーにエルフのキャブを載せたモデルで、キャブバッククレーンやダンプ、ミキサーの架装に有利でした。廉価であったため、ごみ収集車やレンタカー会社などで多く採用されました。1986年に登場し、2007年に生産終了しました。

エンジン

フォワードには、数多くのエンジンが搭載されてきました。以下にその一部を記します。

6BB1: 145ps
6BD1: 160ps, 180ps
6BF1: 170ps
6BG1-TC: 200ps, 230ps
6SA1: 200ps
6HE1-TCS: 250ps, 260ps
6HK1-TCS: 280ps, 300ps
4HK1-TC: 190ps, 210ps, 240ps
DB6A-TCN :260ps
DB6A-TCC :300ps

海外展開

フォワードは海外では主に「いすゞ・Fシリーズ」として販売されています。南米ではシボレーブランドで、北米ではGMブランドでも展開されています。各地域で、現地のニーズに合わせたモデルが販売されています。

その他の情報

製造拠点：いすゞ自動車藤沢工場、台中眾鈴汽車有限公司
荷台メーカー：小平産業、パブコ、東洋ボデー、日本フルハーフ、日本トレクス、新明和工業、極東開発工業、花見台自動車
観光向け水陸両用バスとしても採用
スタジオジブリ映画「平成狸合戦ぽんぽこ」に登場
自衛隊に納入された車両は「トラック2 1/2t 4×4カーゴ」と呼ばれる

関連事項

いすゞ・エルフ
いすゞ・810
いすゞ・ギガ
いすゞ・ジャーニーQ
UD・コンドル（OEM供給車）

フォワードは、時代とともに進化を続け、日本の物流を支えてきた重要なトラックです。

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