いちご (不動産業)

いちご株式会社は、千利休が説いた「一期一会」の精神を社名に冠し、「人との出会いを大切に」することを企業理念として掲げる、日本を拠点とするサステナブルインフラ企業です。主に、不動産投資運用事業（J-REIT含む）と、太陽光発電所などのクリーンエネルギー事業を展開しています。

同社の歴史は、2000年に創業したアセット・マネジャーズ・ホールディングス株式会社に始まります。不動産流動化の分野で先駆的な役割を果たし、西武百貨店池袋店の流動化をはじめとする実績を積み重ねてきました。これまでの不動産ファンド運用実績は、累計で1.9兆円を超えています。2002年の株式上場後、グローバルな投資銀行を目指し、中国の有力な投資会社グループとの資本提携なども行いましたが、その後、不動産運用事業を中心とする体制へと移行していきました。

2008年8月には、欧米の年金等を運用する「いちごトラスト」からの第三者割当増資を実施。同年10月には、モルガン・スタンレー証券出身のスコット・キャロン氏が代表執行役会長に、総合建設会社フジタ出身の岩﨑謙治氏が代表執行役社長に就任し、現在の経営体制の礎が築かれました。2010年9月には、筆頭株主であった「いちごトラスト」を冠する形で、社名を「いちごグループホールディングス株式会社」へと変更しています。

J-REIT事業への本格参入は2011年からです。同年1月、J-REIT「ジャパン・オフィス投資法人」（現：いちご不動産投資法人）の運用会社を買収。同年8月には、別のJ-REITである「FCレジデンシャル投資法人」の運用会社も傘下に収めました。2011年11月には、これら二つのJ-REITが合併し、「いちごオフィスリート投資法人」が誕生しています。

クリーンエネルギー事業への取り組みも進めており、2012年11月にはいちごECOエナジー株式会社を設立しました。大規模太陽光発電所である「いちごメガソーラー」の開発を積極的に推進しており、2024年2月末時点で、全国各地で64発電所（合計約200MW）が稼働または開発確定しています。開発済みの主な発電所には、いちご昭和村生越ECO発電所、いちご徳島東沖洲ECO発電、いちご元紋別ECO発電所など、北海道から沖縄まで広範な地域にわたる実績があります。

経営体制も変化しており、2015年には長谷川拓磨氏が代表執行役社長に就任。2016年4月には新たな経営理念として、不動産再生事業を「心築（しんちく）」と改称するなど、事業の根幹となる考え方を再定義しました。

同社は、日本の上場不動産会社として初めてカーボン・ゼロを達成した企業としても注目されています。

CSR活動にも力を入れており、実業団としてウエイトリフティング部、陸上部、テニス部を運営し、選手の育成・支援を行っています。特にウエイトリフティング部には、オリンピックメダリストの三宅宏実氏（現在はコーチ）や、パリオリンピック代表の村上英士朗選手などが所属しています。また、2024年度からは、子会社を通じてサッカーJリーグクラブチームであるテゲバジャーロ宮崎の経営に参画し、ホームスタジアムの命名権も取得するなど、地域スポーツ振興にも貢献しています。

主要なグループ会社には、いちご投資顧問、いちご地所、いちごECOエナジー、いちごオーナーズ、宮交シティ、ワンファイブホテルズなどがあり、不動産関連事業に加え、ホテル運営、メディア、農業など多角的な事業を展開しています。2015年11月には東京証券取引所第一部へ、2022年4月にはプライム市場へ市場変更しています。

これらの活動を通じて、「日本を世界一豊かに。その未来へ心を尽くす一期一会の『いちご』」という長期ビジョン「いちご2030」の実現を目指しています。

もう一度検索