いわむらかずお

岩村和朗は、1939年4月3日生まれの日本の絵本作家です。本名は岩村和朗。代表作として知られるのは、「14ひきのシリーズ」で、『14ひきのひっこし』や『14ひきのあさごはん』などが特に有名です。

東京都足立区で生まれた岩村は、6人兄弟の中で育ちました。5歳の時には、兄と共に秋田県の祖父母の家に疎開し、戦後に東京へ戻りました。杉並区の借家で8人暮らしをした経験も、彼の作品に影響を与えているかもしれません。

1958年に東京都立西高等学校を卒業後、1964年には東京芸術大学美術学部工芸科を卒業しました。その後、36歳になった1975年に栃木県芳賀郡益子町に移住し、畑を耕しながら創作活動を始めました。自然に囲まれた環境で、独自の作風を確立していったと言えるでしょう。

1983年に出版された『14ひきのひっこし』と『14ひきのあさごはん』は、14匹のねずみの3世代家族が、豊かな自然の中で協力し、楽しく生活する様子が描かれています。大きな見開きページに描かれた生き生きとしたねずみたちの姿は、多くの読者を魅了しました。『ひっこし』は2008年までに92万冊、『あさごはん』は101万冊を売り上げ、シリーズ全体がロングセラーとなっています。

岩村作品の特徴は、擬人化された動物を主人公にすることが多い点です。「かんがえるカエルくん」のように、子供向けの哲学的なテーマを扱った作品もあります。これらの作品は、子供たちが楽しみながら、思考力を養うきっかけを与えています。

1998年には、栃木県那須郡馬頭町（現在の那珂川町）に「いわむらかずお絵本の丘美術館」を開設し、館長を務めています。美術館では、岩村の作品世界を体験することができ、多くのファンが訪れています。

岩村の家族もまた、芸術に関わる活動をしています。長男の岩村康一朗は、美術館のミュージアムショップ責任者であり、次男の岩村吉景は陶芸作家として活躍しています。

岩村和朗は、数々の賞を受賞しています。『14ひきのあさごはん』で絵本にっぽん賞、『14ひきのやまいも』などで小学館絵画賞を受賞しています。また、『ひとりぼっちのさいしゅうれっしゃ』でサンケイ児童出版文化賞、『かんがえるカエルくん』で講談社出版文化賞絵本賞を受賞しています。2014年にはフランス芸術文化勲章シュヴァリエを受章しています。

岩村和朗の絵本は、子供たちの成長に寄り添い、豊かな心を育む力を持っています。彼の作品は、これからも多くの人々に愛され続けるでしょう。

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