うらしま

無人潜水機「うらしま」の概要

「うらしま」は、海洋研究開発機構（JAMSTEC）が運用する深海巡航自律型無人潜水機（AUV）で、古代日本の伝説に由来した名前を持っています。その名は浦島太郎に由来し、海底の龍宮城を訪れたという物語を連想させます。この潜水機の主な目的は、深海の海洋データを取得し、解析することにあります。

開発の背景と経緯

地球温暖化の影響を理解するためには、北極海の海洋データが不可欠です。しかし、この地域は環境条件が厳しく、通常の手段では容易にアクセスできません。これを解決するために、長距離航行が可能な自律型無人潜水機の開発が望まれていました。こうした背景の下、1998年に「うらしま」の開発が始まりました。

開発の進展

2000年にリチウムイオン電池を搭載した試作機が納入され、その後、より長い航続距離を持つよう燃料電池に換装されました。2003年には、燃料電池を搭載したAUVとして世界初の水深300メートルへの潜航に成功し、最大潜航深度は1,507メートル、30キロメートルの連続航続距離を記録しました。さらに、2005年には駿河湾で800メートルの水深で56時間連続航走し、317キロメートルを移動することに成功しました。

2009年には、深海探査の実用機として完成し、最大潜航深度は3,500メートルに達しましたが、これでは排他的経済水域（EEZ）の45パーセントしか調査ができませんでした。より深い海域での探査が求められる中、2022年に改造工事が始まり、重要機器を収める耐圧容器をチタン製に変更しました。これにより、2025年5月には「うらしま8000」として、最大8,000メートルの深さに潜ることが可能になりました。

最新技術とさらなる発展

「うらしま8000」が実用に供されることで、EEZの98パーセントの調査が可能となり、海底資源の探索や、海溝における地震研究への活用が期待されています。この開発は、日本が自国の海域の情報把握を強化するための重要なステップとされています。しかしながら、この潜水機は試料を採取することができず、これらのデータを補うためには有人潜水艇や遠隔操作型ロボット（ROV）との連携が重要です。

2025年7月21日、うらしま8000は伊豆・小笠原海溝での試験航海中に水深8,015メートルに到達し、国内で開発されたAUVとしては最も深い記録を樹立しました。

組織的構成と諸元

「うらしま8000」に搭載される調査機器としては、自動多点採水装置、CTDOセンサー、低照度デジタルカメラ、サイドスキャンソーナー、サブボトムプロファイラ、マルチビーム測深機などがあり、多様な調査が可能です。

仕様

• - 全長: 10.7 m
• - 全幅: 1.3 m
• - 高さ: 1.5 m
• - 最大水中重量: 7 トン
• - 最大潜航深度: 3,500 m（初期）/ 8,000 m（改造後）
• - 航続距離: 約300 km
• - 水中巡航速度: 3 ノット
• - 最大水中速度: 4 ノット
• - 動力源: リチウムイオン二次電池と閉鎖式燃料電池
• - 航行方式: コンピュータによる全自動航行

このように「うらしま8000」は、高度な自律航行機能と深海探査能力を兼ね備えた最先端の無人潜水機として、未来の海洋研究に向けた新たな展望を開いています。

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