うわさ (漫画)

ももち麗子『うわさ』：ストーカーと少女の変貌

『うわさ』は、ももち麗子によって描かれた日本の漫画作品です。2000年に『デザート』（講談社）で連載され、単行本は全1巻として刊行されました。本作は、作者の「問題提起シリーズ」の一つとして、深刻な社会問題であるストーカー行為をテーマにしています。

あらすじ

『うわさ』

女子高生のまなみは、大学生の恋人・文彦の束縛に耐えかねて別れを告げます。しかし、別れた後から文彦はまなみへの無言電話や待ち伏せといったストーカー行為をエスカレートさせていきます。まなみは恐怖に怯えながら日々を過ごすことになり、新たな出会いである加藤と交際を始めますが、文彦の行動はさらに過激さを増し、まなみの友人や家族をも巻き込んだ、深刻な事態へと発展していきます。

『さけび』

中学生のかおりは、クラスでのいじめと母親からの過度なプレッシャーに苦しみ、絶望的な日々を送っていました。そんな中、クラスに転校生の少女がやってきます。孤独な少女は新たないじめのターゲットとなり、かおりはこれまで鬱積していた感情を爆発させるかのように、いじめに加担していくのです。そして、いつしかいじめっ子たちのリーダーとなり、少女を徹底的にいじめ抜きます。しかし、その狂気的な行動は、周囲の生徒たちから恐れられるようになり、かおりは孤立を深めていくことになります。

登場人物

『うわさ』

まなみ: 本作の主人公。元恋人の文彦からストーカー行為を受け、精神的に追い詰められていきます。
文彦: まなみの元恋人。別れた後もまなみに執着し、ストーカー行為を繰り返します。嫉妬深く、独占欲の強い性格が、狂気的な行動へと駆り立てていきます。
加藤: まなみの新しい恋人。ストーカー行為を知り、文彦を止めようとしますが、事態は悪化の一途を辿ります。
桃子: まなみの親友。まなみを心配し、彼女を支えようと奔走します。

『さけび』

かおり: 本作の主人公。いじめと家庭環境に苦しみ、精神的に追い詰められていたが、転校生の少女へのいじめをきっかけに、いじめっ子へと変貌します。しかし、その結果、周囲から孤立してしまいます。
いじめっ子達: かおりをいじめていた三人組。転校生の少女を新たなターゲットにし、かおりを巻き込んでいじめをエスカレートさせますが、次第にかおりの暴力的な行動を恐れるようになります。
転校生の少女: かおりのクラスに転校してきた少女。過去にいじめを受けていたかおりとは対照的に、いじめに屈しない強い意志を持っています。

書誌情報

ももち麗子『うわさ』講談社〈KCデザート〉全1巻、2000年7月11日発売、ISBN 4-06-341093-5

関連項目

ストーカー行為等の規制等に関する法律：本作のテーマであるストーカー問題に関連する法律。
教育問題：いじめをテーマにした『さけび』に関連する問題。

『うわさ』は、ストーカーという社会問題と、いじめによる少女の心の変貌を鮮烈に描いた作品です。人間の心の闇、そして脆さを考えさせられる、衝撃的な物語が展開されます。

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