えにし書房

えにし書房株式会社は、2014年に塚田敬幸氏によって設立された出版社です。塚田氏は、彩流社で長年編集者としての経験を積んだ後、独立してえにし書房を立ち上げました。同社は、歴史、人文社会、趣味、サブカルチャーなど、幅広いジャンルの書籍を刊行しており、特に歴史分野においては、独自の視点と丁寧な編集が際立っています。

設立と背景

塚田氏は、彩流社で10年程度の流通営業を経験した後、編集部に配属され、編集業務、営業部長、総務部長を歴任しました。その後、編集部長に昇進しましたが、同社を退社し、自身の理想とする出版活動を実現するために、えにし書房を設立しました。塚田氏は、「30年で500点出版」を目標としており、少数精鋭で質の高い書籍を世に送り出すことを目指しています。

出版活動

えにし書房の最初の刊行物は、2014年8月6日に発行された内藤陽介著『朝鮮戦争 ポスタルメディアから読み解く現代コリア史の原点』と広中一成著『語り継ぐ戦争 中国・シベリア・南方・本土「東三河8人の証言」』の2冊です。その後、おおむね2か月に2冊のペースで書籍を刊行しています。

同社は、アーカイブ・プロデューサーで戦前レコード文化研究家の保利透氏が主宰するレコード・レーベル「ぐらもくらぶ」と提携し、叢書「ぐらもくらぶシリーズ」も展開しています。第1弾として、辻田真佐憲著『愛国とレコード 幻の大名古屋軍歌とアサヒ蓄音器商会』を刊行しました。この書籍は、「ぐらもくらぶ」が発売したSPレコード音源復刻コンピレーション・アルバム『續・大名古屋軍歌』および、先行発売された『大名古屋軍歌』と連動したメディアミックス作品として注目を集めました。

2014年12月には、トランスビューと提携する複数の出版社と共に、毎日新聞朝刊読書面に共同広告を掲載するなど、積極的に広報活動も行っています。

特徴

えにし書房の特徴として、まず挙げられるのが、その「ひとり出版社」としての運営スタイルです。塚田氏が編集から営業までほぼすべての業務を一人でこなしており、それによって、著者との密なコミュニケーションや、書籍の内容に合った丁寧な編集が可能となっています。

また、同社のウェブサイトでは、「えにし書房発行の本の書影・書誌・内容紹介などすべての情報はご自由に利用ください」と明記しており、著作権に寛容な姿勢を示している点も特徴的です。

企業情報

• - 社名: えにし書房株式会社
• - 所在地: 東京都千代田区九段南1-5-6-りそな九段ビル5F
• - 代表取締役社長: 塚田敬幸
• - 設立: 2014年6月4日
• - ISBNの出版社記号: 908073

主な出版物

• - 『語り継ぐ戦争 中国・シベリア・南方・本土「東三河8人の証言」』、広中一成、2014年8月6日
• - 『朝鮮戦争 ポスタルメディアから読み解く現代コリア史の原点』、内藤陽介、2014年8月6日
• - 『破天荒坊主がゆく』、ひぐち日誠、2014年10月7日
• - 『国鉄「東京機関区」に生きた 1965-1986』、滝口忠雄、2014年10月7日
• - 『愛国とレコード 幻の大名古屋軍歌とアサヒ蓄音器商会』、辻田真佐憲、2014年11月5日 - ぐらもくらぶシリーズ1
• - 『丸亀ドイツ兵捕虜収容所物語』、髙橋輝和、2014年11月5日
• - 『誘惑する歴史 誤用・濫用・利用の実例』、マーガレット・マクミラン/真壁広道、2014年12月23日
• - 『原発国民投票をしよう! 原発再稼働と憲法改正』、飯田泰士、2015年1月

まとめ

えにし書房は、塚田敬幸氏の情熱と経験によって、質の高い書籍を世に送り出し続けている出版社です。「ひとり出版社」という独自のスタイルで、著者との密な連携を大切にし、読者に深く響く書籍を出版しています。同社の今後の出版活動にも注目が集まります。

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