おうみ (補給艦)

海上自衛隊補給艦「おうみ」 (AOE-426) の艦歴

「おうみ」は、海上自衛隊のましゅう型補給艦の2番艦です。艦名は、琵琶湖の古名である「淡海」に由来しており、万葉集にもその名が記されています。本艦は、2003年2月7日にユニバーサル造船舞鶴事業所で起工され、2004年2月19日に進水、2005年3月3日に竣工しました。その後、護衛艦隊に編入され、佐世保に配備されました。

多様な任務への従事

「おうみ」は、就役以来、数々の重要な任務を遂行しています。

まず、2006年と2008年、そして2009年には、テロ対策特別措置法に基づき、インド洋に派遣されました。これらの任務では、海上自衛隊初の女性自衛官を含む乗員が参加し、補給活動に従事しました。2011年3月11日に発生した東日本大震災では、岩手県知事からの災害派遣要請を受け、被災地への支援活動に貢献。福島第一原子力発電所の原子炉冷却水補給作業にも携わっています。

さらに「おうみ」は、国際的な協力にも積極的に参加しています。2019年には、東シナ海において、国連安保理決議で禁止されている瀬取り行為を行っていたとみられる北朝鮮船籍のタンカーを2隻確認しました。これらのタンカーは、国連安保理北朝鮮制裁委員会から資産凍結・入港禁止の対象に指定されていた船舶でした。

2019年、2022年には、日米印（オーストラリア参加）共同訓練「マラバール」に参加。2021年には、米沿岸警備隊との共同訓練「ILEX21」を複数回実施し、補給艦から米沿岸警備隊への洋上補給を初めて行いました。2023年には、複数のILEX共同訓練に参加しています。これらの訓練では、対潜戦、対空戦、洋上補給などの各種戦術訓練を実施し、日米、さらには多国間における連携強化に貢献しました。

艦名の由来と海上自衛隊における補給艦の命名

海上自衛隊の補給艦の艦名は、湖の名前に由来することが多く、「貯めた水などを供給する」という補給艦の役割と関連付けられています。しかし、「おうみ」の艦名選定は、担当者を悩ませる問題となりました。近畿、中国、九州地方の湖を候補として検討された結果、日本最大の湖である琵琶湖の古名「淡海」が採用されました。これは、自衛艦の艦名としては「現存しない地名」由来の初めての例となりました。また、過去の「おうみ」と命名由来が異なる点も特徴的です。

現在の状況

現在、「おうみ」は護衛艦隊第1海上補給隊に所属し、佐世保を母港としています。今後も、日本の海洋安全保障に貢献するべく、様々な任務に臨むことが期待されています。

参考文献

石橋孝夫『海上自衛隊全艦船 1952-2002』（並木書房、2002年）
『世界の艦船 増刊第66集 海上自衛隊全艦艇史』（海人社、2004年）

もう一度検索