おおいぬ座ベータ星

おおいぬ座β星（ミルザム）

おおいぬ座β星は、夜空で輝くおおいぬ座を構成する恒星の一つであり、2等星として観測されます。おおいぬ座の中で4番目に明るい星として知られていますが、その実際の光度は、おおいぬ座α星であるシリウスの1,300倍にも達します。もし太陽系からの距離がシリウスと同程度であれば、金星の15倍以上の明るさで輝くでしょう。

ケフェウス座β型変光星

おおいぬ座β星は、0.250日の周期で1.93等星から2.00等星の間で明るさを変化させるケフェウス座β型変光星です。このタイプの変光星の中で最も明るく見える星であり、過去には「おおいぬ座β型変光星」と呼ばれることもありました。変光範囲が小さいため、肉眼での明るさの変化は観測が困難です。約6時間の間に+1.93等から+2.00等まで変光するこの星は、その不安定な変光から、水素核融合を終える最終段階にあると考えられています。

ミルザム・トンネル

おおいぬ座β星の方向、太陽系から50パーセクから300パーセクの範囲には、中性ガスがほとんど存在しないトンネル状の構造があります。これは、太陽系が位置する「局所泡」の端から伸びる構造であり、おおいぬ座β星の名前にちなんで「ミルザム・トンネル」と名付けられています。

名称について

おおいぬ座β星の学名はβ Canis Majoris（β CMa）です。固有名はミルザム（Mirzam）であり、かつてはムルジム（Murzim）とも呼ばれていました。2016年6月30日、国際天文学連合（IAU）の恒星の命名に関するワーキンググループ（WGSN）は、ミルザムを正式な固有名として承認しました。これらの名前は、アラビア語の「al-mirzam」に由来しますが、具体的な意味は明らかになっていません。この名前は、おおいぬ座β星だけでなく、こいぬ座β星やオリオン座γ星など、他の明るい星にも付けられていたことから、何らかの関連性があったと考えられています。

まとめ

おおいぬ座β星は、その明るさ、変光特性、そして周辺の特異な構造を持つことから、天文学的な興味を集める星です。肉眼での観測は難しいですが、その背後には多くの謎と魅力が隠されています。今後の研究によって、この星の更なる理解が進むことが期待されます。

参考

* 明るい恒星の一覧

もう一度検索