おかしなおかしなおかしな世界

『おかしなおかしなおかしな世界』解説

『おかしなおかしなおかしな世界』（原題: It's a Mad, Mad, Mad, Mad World）は、1963年に公開されたアメリカのコメディ映画です。当時の人気俳優やコメディアンが多数出演し、壮大なスケールで繰り広げられるドタバタ劇は、観る者を飽きさせません。映画史に残る傑作として、今もなお多くのファンに愛されています。

ストーリー

物語は、35万ドルを盗んだ強盗犯スマイラーが、警察から逃走中に交通事故を起こす場面から始まります。スマイラーは瀕死の状態で、偶然通りかかった5人の男女に、盗んだ大金を「大きなWの字の下に隠した」と告白し、息絶えます。大金を目の前にした彼らは、欲に駆られ、警察に通報せずに分け前を独り占めしようと画策します。こうして、それぞれが目的地を目指して珍道中を繰り広げることになるのです。

しかし、目的地にたどり着き大金を手にしたのも束の間、全く意外な人物に横取りされてしまいます。そして、今度は大金を取り返すべく、さらなる追跡劇が始まるのでした。

特徴

豪華キャスト

ミッキー・ルーニー、スペンサー・トレイシー、ミルトン・バール、シド・シーザーなど、当時の映画界を代表するスターたちが一堂に会し、個性豊かなキャラクターを演じています。

ドタバタ喜劇

大金を巡って繰り広げられる、追跡劇、裏切り、騙し合いなどの騒動を、コミカルかつスピーディーに描いています。観客は最初から最後まで、笑いっぱなしになることでしょう。

スーパーシネラマ

公開当時、最新の映像技術であったスーパーシネラマ方式で撮影されました。これにより、広大な風景や迫力あるカーチェイスなどが、よりリアルに表現され、観客はまるでその場にいるかのような臨場感を味わうことができました。

往年のコメディアン達

この作品には、バスター・キートン、三ばか大将、ジェリー・ルイスなど、往年の喜劇俳優たちがカメオ出演しています。彼らの登場シーンは、映画に更なる彩りを添え、往年のファンを喜ばせました。

バスター・キートンは、サイレント映画時代から活躍した大スターであり、この映画の3年後に亡くなるまで、数多くの作品に出演し続けました。また、三ばか大将は、時代によってメンバー構成が異なりましたが、この映画ではモー、ラリー、カーリー・ジョーの3人による「新三ばか大将」として登場しています。

シネラマ方式について

本作は、公開当時としては画期的な技術であったシネラマ方式で撮影されました。シネラマは、複数のカメラと映写機を使用することで、ワイドな映像と迫力ある音響を実現するシステムでした。

初期のシネラマ映画は、自然風景を記録したものが中心でしたが、1962年に公開された『西部開拓史』が初の劇映画として製作されました。

しかし、シネラマ方式は、撮影や上映に高度な技術と設備が必要であり、コストも高額でした。そのため、次第に35mmフィルムを使用するシネマスコープやパナビジョンといった、より手軽な方式が主流となっていきました。

まとめ

『おかしなおかしなおかしな世界』は、豪華キャスト、ドタバタ喜劇、スーパーシネラマといった要素が融合した、エンターテイメント作品です。公開から数十年経った今でも、その面白さは色褪せることなく、多くの人々に愛されています。未見の方は、ぜひ一度鑑賞してみてください。

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