おかしなアヒルの子

おかしなアヒルの子：トムとジェリーが贈る、感動と笑いの物語

1953年9月5日に公開された『おかしなアヒルの子』（原題：Just Ducky）は、ウィリアム・ハンナとジョセフ・バーベラ監督によるトムとジェリーシリーズの一作品です。フレッド・クインビーが製作を務め、ケネス・ミューズ、エド・バージ、レイ・パターソン、アーヴン・スペンス、そしてアル・グランドメンらが作画を担当。背景はロバート・ジェントル、音楽はスコット・ブラッドリーが手掛けています。

物語は、母アヒルの見守る中、卵から次々と孵化する子アヒルたちの様子から始まります。5羽のかわいい子アヒルたちは、母親の後をついて水辺へ。しかし、最後に孵った1羽の子アヒルは、他の兄弟たちとは違い、泳ぐことができません。水に浮かぶことができず、沈んでしまうのです。

母親と兄弟たちに気づかれずに取り残された子アヒルは、悲しみに暮れます。そこに現れたのは、おなじみのジェリー。事情を知ったジェリーは、親切にも子アヒルに泳ぎ方を教えようとしますが、クロールを教えるもなかなかうまくいきません。困り果てたジェリーは、浮き袋を取りに家に戻ります。

一方、自分が泳げないことを嘆く子アヒルは、うっかりトムが作ったスープの鍋の中に落ちてしまうというハプニングに巻き込まれます。トムは空き缶でスープを作ろうとしており、うっかり近づいた子アヒルをスープの材料にしようとしたのです。その時、ジェリーが駆けつけ、子アヒルを救出します。

こうして、いつものようにトムとジェリー、そして子アヒルのドタバタ劇が始まります。追いかけっこをしているうちに、トムは池に落ちてしまいます。トムもまた泳げないため、子アヒルは彼を見捨てようかと考えますが、溺れていくトムを放っておくことができず、ついに池に飛び込みます。そして、必死に羽ばたき、驚くことに、アヒル独特の泳ぎ方を身につけてトムを救出。

水から引き揚げられたトムは、ジェリーによって毛布に包まれ、介抱されます。一方、子アヒルは、他の兄弟とは異なる泳ぎ方ではありますが、無事に母親と兄弟たちの元へ帰っていくのでした。トムとジェリーは、そんな子アヒルを見送るように、微笑ましく見守ります。

この作品には、様々な魅力が詰まっています。まず、個性豊かなキャラクターたち。泳げない子アヒルのかわいらしさ、トムの悪巧みと意外な優しさ、そしてジェリーの機転の利く行動。それぞれのキャラクターが、物語に深みを与えています。さらに、予測不能な展開も魅力の一つ。常にハラハラドキドキさせられ、飽きさせません。

また、『おかしなアヒルの子』は、単なるコメディ作品にとどまりません。子アヒルの成長、トムとジェリーの友情、そして助け合うことの大切さを描いている点が、この作品を不朽の名作たらしめていると言えるでしょう。1954年発表の『親切なトム』と同様に、助けられる側と助ける側が逆転する展開も見どころです。何度観ても新しい発見があり、心温まる感動と笑いを届けてくれる、まさに傑作と言えるでしょう。

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