おのくん

おのくんとは

宮城県東松島市で生まれた「おのくん」は、東日本大震災からの復興を願う地元主婦たちが、一つ一つ手作りしているソックモンキーのぬいぐるみです。猿をモチーフにした愛らしい姿と、合言葉の「めんどくしぇ」が特徴で、多くの人々に愛されています。

誕生の背景

2011年3月11日に発生した東日本大震災で、東松島市は甚大な被害を受けました。多くの人々が避難生活を余儀なくされる中、小野駅前応急仮設住宅では、埼玉県からのプレゼントをきっかけに、住人である主婦たちがソックモンキー作りを始めました。

「がんばろう！」ではなく「めんどくしぇ」という合言葉は、無理せず、気負わず、肩の力を抜いて進もうという気持ちと、少し照れ隠しのような気持ちが込められています。このソックモンキーは、当初「めんどくしぇ人形」と呼ばれていましたが、NHKアナウンサーの小野文恵さんの提案と、プロジェクトメンバーの話し合いを経て「めんどくしぇ おのくん」と名付けられました。

おのくんに込められた想い

おのくんは、震災を経験したからこそ学んだ「家族の大切さ」「会話の大切さ」「言葉の大切さ」を伝えています。また、東松島のことを知ってほしい、東松島に訪れてほしいという願いも込められています。2021年からは、残糸を使った靴下から生まれるおのくんの製作も始まっています。

里親募集と活動拠点

おのくんが製作される仮設住宅の集会所は「おのくんハウス」と呼ばれ、製作されたおのくんは展示・販売されています。この活動は「里親募集」と呼ばれており、全国各地から多くの「里親」が誕生しています。仮設住宅の移転に伴い、「おのくんハウス」は撤去されましたが、現在は陸前小野駅前に設置された常設施設「空の駅」で展示・販売が行われています。

通信販売も行っていますが、「東松島に来てほしい」という思いから対面販売を優先しているため、電話やファックスでの注文には時間がかかることもあります。2024年5月時点で、30万人以上の里親がいます。

プロジェクトでは、おのくんの材料となる靴下や中綿（「おのくんのエサ」）の支援も呼びかけています。これらの活動は、震災後の新たな生き方として、持ち寄りの精神から生まれました。

イベントとおのくんの活躍

おのくんの誕生を祝う「めんどくしぇ祭」は、毎年開催されています。祭では、着ぐるみの「でっかいおのくん」が登場し、会場を盛り上げます。でっかいおのくんは、各地のイベントや環境活動、ワークショップにも参加し、おのくんの魅力を広めています。また、イオンモールの支援により、全国のイオンモールで「おのくんキャラバン」も実施されています。

石ノ森萬画館や日本俳優連合とも連携し、石巻市と東松島市を結ぶイベントも開催しています。

2017年には、世界防災フォーラムの公式マスコットキャラクターとしても活動を開始。2025年開催予定の世界防災フォーラムでは、防災をエンタメにするというテーマで、ハットを使ったワークショップやファッションショーを企画しています。この活動をきっかけに2024年には、各地の防災フェスにも参加しています。

教育活動

震災後、子どもたちと共に遊びながら学ぶ活動として、３つのかんきょう活動をスタートさせました。

環境：自然環境、生活環境
感教：感じる教育、喜怒哀楽をテーマにした活動
* 間協：誰かと誰かの何々間協力をテーマにした活動

この活動がSDGsと繋がり、現在のレボリスト運動にも繋がっています。

早稲田実業初等部では、防災ポスターから始まり、現在はペーパークラフトハットの制作＆防災ハットを授業として展開し、全国の小学校へと広めています。また、避難訓練にエンタメ要素を加えたファッションショーイベントも進めています。

ソックモンキーのルーツ

おのくんのモデルとなったのは、アメリカのソックモンキーです。1930年代の世界恐慌下で、貧しい生活を送る人々が、使い古した靴下にぼろきれを詰めて作ったのが始まりとされています。その後、アメリカ全土でブームとなりました。

メディア出演

おのくんは、テレビドラマ『空飛ぶ広報室』や、人気アニメ『名探偵コナン』のエンディングにも登場し、大きな話題となりました。また、『警視庁アウトサイダー』にも登場しています。

おのくんの活動は

おのくんは、東日本大震災からの復興を願う人々の想いを形にした、愛と希望の象徴です。東松島の復興を支え、人々の心を繋ぐ存在として、今後もその活動は広がり続けていくでしょう。

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