おばけのムーラちゃん

おばけのムーラちゃん

『おばけのムーラちゃん』は、漫画家・水木しげるが手がけた児童向け漫画作品です。1979年2月号から12月号にかけて、講談社の『テレビマガジン』で連載されました。

概要

この物語は、「ムーラちゃん」という不思議な力を持つ生物が、様々な妖怪たちを相手に活躍する姿を描いています。アニメ化の企画も存在したようですが、残念ながら実現には至りませんでした。

作者である水木しげるの次女・悦子さんによると、「ムーラちゃん」の名前は、水木しげるの本名である「武良（むら）」から取られたものであり、その独特なデザインは、当時家にあったおもちゃを参考にしたとのことです。また、2017年には、水木しげるロードに「ムーラちゃん」のブロンズ像が設置され、作品は今もなお愛され続けています。

あらすじ

物語は、小学生の直一と妹のえつ子が、とっくり山で奇妙な生物を発見するところから始まります。2人はその生物を家に持ち帰り、「ほじくりじいさん」に相談します。そこで、この生物がムー大陸の生き残りであり、「ムーラちゃん」という名前であることが判明します。ムーラちゃんは、直一たち家族と一緒に暮らすことになり、次々と起こる不思議な事件を解決していくことになります。

主な登場キャラクター

ムーラ

1万2千年の眠りから目覚めたムー大陸の王様（最終回ではムーンの王子に変更）。壷を伏せたような胴体に、耳のような丸い突起と、目、腕がそれぞれ一対ずつ付いています。マシュマロのように柔らかい体をしており、自由自在に変形することができます。妖怪に関する知識も豊富で、対処法にも精通しています。

直一（なおかず）

小学生の男の子。水木しげるの長女・尚子さんがモデルですが、男児向け雑誌ということもあり、兄弟構成が変更されています。

えつ子

直一の妹。水木しげるの次女・悦子さんがモデルです。

ほじくりじいさん

古墳でムーラを発見し、密かに飼っていた老人。直一たちにムーラを見つけられたため、ムーラを彼らに譲ります。

虫郎（むしろう）・虫子（むしこ）

ムーラを親方と慕う寄生虫たち。ムーラの活動を手助けします。

水神（みずがみ）

金魚のような姿をした神様。引力を自在に操り、水を持ち上げたり空中に漂わせることができます。熱湯は平気ですが、氷点下の低温は苦手です。

チョンチョニイ

病人のいる家の屋根にとまり、その怪しい力で病人を殺して食べる妖怪鳥。大きな耳を遠隔操作できますが、耳を逆さに付けられると力を失います。

女夜叉（おんなやしゃ）

中国の妖怪。黒い息を吹きかけ、相手をシラミに変えてしまいます。

グイイ

土の精。地下から子供をさらい、不思議な瓶の中に閉じ込めてしまいます。

ランスグイル

東南アジアの魔女。魔法のほうきを使い、子供を誘拐して生贄に捧げます。

カルマ

フィンランドの妖怪。人や動物の鼻の穴から侵入し、内臓を食い尽くします。

パック

イギリスのいたずら好きの妖怪。最初は留学に来た宇宙人と偽っていましたが、実は勉強が大嫌いです。

まめだぬき

ムーラを目の敵にし、様々な手を使って挑んできます。

ムーンの王

ムーラの父親。地球を旅行中に眠ってしまったムーラが目覚める時が来たため、迎えの船を送ります。

単行本情報

『フーシギくん／おばけのムーラちゃん』 文藝春秋〈水木しげる特選怪異譚〉、1999年10月、ISBN 4-16-099921-2
『フーシギくんとおばけのムーラちゃん』 徳間書店〈トクマコミックス〉、2010年12月、ISBN 978-4-19-780481-8
* 『フーシギくん他』 講談社〈水木しげる漫画大全集〉、2014年1月、ISBN 978-4-06-377518-1

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