フーシギくん

『フーシギくん』について

『フーシギくん』は、漫画家・水木しげるによる日本の漫画作品であり、同作品の主人公の名前でもあります。この作品は、超能力を持つ少年「フーシギくん」が、さまざまな妖怪を相手に活躍する姿を描いた児童向けの作品です。

連載と展開

『フーシギくん』は、1974年8月号から12月号にかけて『テレビマガジン』（講談社）で全5回連載されました。その後、1975年3月まで「フーシギくん 妖怪ものしり教室」が連載されました。また、同じ時期に『たのしい幼稚園』でも1974年9月号から12月号まで連載が行われました。基本的に2コマ漫画形式でしたが、『たのしい幼稚園』10月号ではストーリー漫画も掲載されました。

アニメ化の企画も存在したようですが、実現には至らなかったようです。

作品の特徴

この作品は、水木しげるの家族にも好評で、特に水木の妻である布枝さんは「フーシギくんの歌」を作り、家族でよく歌っていたと言われています。また、フーシギくんのキャラクターデザインは、水木の長女である尚子さんの意見を取り入れて決定されました。

単行本

『フーシギくん』の単行本は長年にわたり刊行されていませんでしたが、1999年に文藝春秋、2010年に徳間書店からそれぞれ刊行されました。これらの単行本には『おばけのムーラちゃん』が併録されていますが、『たのしい幼稚園』に掲載された『フーシギくん』は未収録でした。その後、2014年に刊行された『水木しげる漫画大全集　フーシギくん他』で、初めて完全収録されました。

2017年には、水木しげるロードに「フーシギくん」のブロンズ像が設置され、作品の人気を物語っています。

主な登場キャラクター

フーシギくんと仲間たち

フーシギくん：日本の超能力者の元祖とされる役の行者の三十代目にあたります。手足を自在に伸ばすことができます。
めがねじじい：役家に代々仕える家老です。
前鬼：めがねじじいのお供で、水木しげるの描く呼子に似た姿をしています。
後鬼：めがねじじいのお供で、水木しげるの描く死神に似た姿をしています。

敵妖怪

ドラキュラ：妖怪を操り、悪事を働きます。
おおかみ男：ドラキュラの仲間です。
かみきり：ドラキュラの仲間です。
なまず大明神：人間にロボット病を流行らせようとします。
テレビお化け：テレビ放送の画像に割り込み、妨害して人間を困らせます。姿は水木しげるの描く妖怪「歯痛殿下」に似ており、水木の読切作品「赤八」にも歯痛殿下が登場します。
悪魔：昔地下に封じられていた存在で、かみきりによって呼び出されました。実体はなく、他者に憑依して操ります。
手洗い鬼：瓶の中に七百年も閉じ込められていました。
地下の王：地下都市を建設するために地上のビルを盗みます。怪力を誇る巨人ですが、被っている王冠を奪われると力が弱まります。
地下人：地下の王の部下たちで、ワニのような顔をしています。ドラキュラの説明によると巨人族であるはずですが、王以外の大きさは人間と大差ありません。

書誌情報

『フーシギくん／おばけのムーラちゃん』 文藝春秋〈水木しげる特選怪異譚〉、1999年10月、ISBN 4-16-099921-2
『フーシギくんとおばけのムーラちゃん』 徳間書店〈トクマコミックス〉、2010年12月、ISBN 978-4-19-780481-8
『フーシギくん他』 講談社〈水木しげる漫画大全集〉、2014年1月、ISBN 978-4-06-377518-1

脚注

参考文献

* 「水木しげる詳細年譜」『完全版 水木しげる伝』 下(戦後編)、講談社〈講談社漫画文庫〉、2005年。ISBN 4-06-360838-7。

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