おトラさんの公休日

おトラさんの公休日：休暇は騒動の始まり？

1958年、東宝系で公開された『おトラさんの公休日』は、お馴染みのおトラさんシリーズ第5作目です。モノクロ、東宝スコープ、東京映画作品という仕様で、前作に引き続き、おトラさんの周囲を彩る個性豊かな面々が脇を固めています。

働き過ぎのおトラさんと休暇計画

いつもパワフルなおトラさんですが、本作では働き過ぎで疲弊しきっている様子が描かれています。周りの人々は心配し、休暇を取るよう勧めます。しかし、頑固なおトラさんはなかなか休みません。そこで、家の人々は策略を練ります。トリ江が催眠術師に扮し、おトラさんに催眠術もどきをかけ、「休む」よう暗示するのです。この奇策は見事に成功し、おトラさんはついに休暇を取ることに同意します。

東京観光と光明学園

休暇を得たおトラさんは、女中たちと共に東京観光に出かけます。最新のテレビ番組『ノーシン劇場』を鑑賞するなど、普段の生活では味わえない自由時間を楽しんでいます。しかし、帰路につく際に、おトラさんは皆とはぐれてしまいます。乗り間違えたバスが連れて行った先は、光明学園という孤児院でした。

孤児院での出会い

偶然訪れた孤児院で、おトラさんはそこで働く人々を手伝います。そこに、彦一という少年が帰ってきました。彦一は近所の自転車店で働いていましたが、不景気の影響で解雇されることになっていました。おトラさんは彦一の境遇を聞き、自転車屋に掛け合って彼を援助することを決意します。

自転車騒動と意外な結末

日野江家の人々、女中たち、そして彦一はサイクリングをすることになります。おトラさんも自転車に乗ろうとしますが、全く上手く乗りこなせず、結局は留守番をする羽目になります。留守中、家には図々しい客や押売りが訪れるなど、騒動は続きます。そんな中、彦一の勧めで再び自転車に乗ることになったおトラさん。しかし、自転車は制御不能となり、猛スピードで光が丘の町中を暴走し始めます。

最終的に、トリ江たちが待つ湖畔でやっと自転車は止まります。おトラさんは、予想外の自転車での大冒険を経て、皆から自転車を乗りこなしたと勘違いされ、胴上げされるという、なんともおトラさんらしい結末を迎えます。

スタッフとキャスト

本作には、おトラさん役の柳家金語楼を始め、有島一郎、水の也清美、川田孝子、日吉としやすといったお馴染みのキャストに加え、関西の夫婦漫才師であるミヤコ蝶々、南都雄二なども出演しています。また、脱線トリオも前作同様、同じ役で出演し、作品に笑いを添えています。さらに、柳家金語楼は劇中のテレビ番組『ノーシン劇場』にも出演しており、2作ぶりとなる二役をこなしています。監督は小田基義、脚本は新井一が務め、スタッフも豪華な顔ぶれです。

シリーズ初！61分の上映時間

本作はシリーズで初めて上映時間が61分と、1時間を超えました。おトラさんの騒動の数々をたっぷり堪能できるボリュームとなっています。

同時上映作品

本作と同時上映されたのは『鰯雲』です。淡島千景主演、成瀬巳喜男監督による作品で、本作とは対照的な落ち着いた雰囲気の作品でした。

まとめ

『おトラさんの公休日』は、おトラさんのいつもの騒動に加え、孤児院での出会いや自転車の大暴走など、見どころ満載の作品となっています。おトラさんシリーズのファンはもちろん、笑いと人情あふれる日本の喜劇映画を堪能したい方にもおすすめです。

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