お入学

お入学

『お入学』は、1987年8月31日から10月9日までNHKの銀河テレビ小説で放送されたドラマです。この作品は、全30回にわたって展開され、視聴者の共感を呼ぶ物語が描かれました。

あらすじ

物語の主人公は女医の香山貴子（演：山本陽子）です。彼女は長女の花子を名門私立小学校『あかね学園』に入学させるために、息子の太郎と共に日々「お受験」塾に通わせます。彼女自身も花子の勉強を見守りますが、思うように成績は伸びず、焦りが募ります。

一方、サラリーマンの夫、香山俊彦（演：伊武雅刀）は「お受験」に無関心で、夫婦の関係は悪化する一方です。さらに、香山の姑（演：菅井きん）も息子夫婦の様子や元気をなくす孫たちを心配しながらも、何も言えない状況です。主人公の実家の両親（演：高松英郎・高森和子）は無理な受験に否定的で、彼女に忠告をしますが、彼女は耳を貸しません。

物語が進む中、同学園の同窓会『あかね会』に特別な人脈を持つ田村夫人（演：長内美那子）が現れ、彼女に騙されて金銭を渡すことになり、家族はさらなる困難に見舞われます。主人公は仕事と家庭生活の両立が難しくなり、子どもたちからは笑顔が消えていきます。

最終的に、家族の不和とお受験の重圧に耐えかねた主人公は、お受験をやめる決断をします。それにより家族に平穏が戻るという結末が描かれています。この物語は、後に広がる「お受験」ブームとその弊害についての批判的な視点を提供しています。

キャスト

• - 香山貴子（山本陽子）
• - 香山俊彦（伊武雅刀）
• - 香山花子（香川沙美）
• - 香山太郎（大木慎也）
• - 香山直江（菅井きん）
• - 田村啓子（長内美那子）
• - その他多数のキャストが出演。

制作スタッフ

この作品は原作和田はつ子に基づき、脚本は橋田壽賀子が担当しました。音楽は廣瀬量平が手掛け、制作は藤田道郎が行っています。演出は田中昭男、椿恭造、清水一彦、湯座明彦が務めました。美術、技術、効果等の制作も多岐にわたり、丁寧に仕上げられました。

反響

本作は、1970年代から1980年代にかけての「お受験」が徐々に広まりつつある中で放送され、視聴率は30％を超えるヒットとなりました。放送終了後も高く評価され、再放送や舞台化が行われました。また、主演の山本陽子は、同様のテーマを持つテレビドラマ『カイワレ族の戦い』にも出演し、「お受験ママ」の役を再び演じました。

この作品は、当時の「お受験」文化を風刺し、多くの視聴者に深い印象を残しました。

エピソード

橋田壽賀子はこの作品を書くきっかけとして、佐久間良子や三田佳子の子どもたちの受験の大変さを聞いたことを挙げており、実生活に基づいたリアルな描写が多くの人々に共感を呼びました。

参考文献

橋田壽賀子の著作『お入学 : NHKテレビ・シナリオ』が出版されており、作品の詳細に興味がある方はぜひご覧ください。

このように、『お入学』は家族の絆と「お受験」というテーマに真摯に向き合った作品であり、当時の視聴者に深い影響を与えたドラマとして語り継がれています。

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