お母さん

お母さん（おかあさん）

「お母さん」という言葉は、日本語で母親を指す最も一般的な親族呼称の一つです。親しみを込めた響きがあり、日常会話で頻繁に使われます。

歴史

「お母さん」という言葉が一般的に使われるようになったのは、比較的新しい時代のことです。江戸時代には、上方（現在の関西地方）の中流階級以上で使用され始めました。その後、明治36年（1903年）に尋常小学校の教科書に採用されたことをきっかけに、全国的に急速に広まりました。それ以前の江戸（現在の東京）では、「おっかさん」という呼び方が一般的でした。

近年では、「ママ」という言葉を使う人も増えています。「ママ」は、中国語のピン音（māma）、ロシア語（мама）、英語（mama）など、様々な言語に由来する言葉です。

また、花街では、芸妓が置屋の女主人を「おかあさん」と呼ぶ習慣もあります。

用法

「お母さん」は、以下のような様々な場面で使用されます。

1. 子が母親に呼びかける時
例：「お母さーん！」
2. 母親が子に対して自分のことを指して言う時
例：「はい、お母さんはここにいるよ。」
3. 夫が、子の父親として、あたかも子の立場にいるかのように妻に対して呼びかける時
例：「お母さん、お茶をちょうだい。」
4. 父親が、子の母親を指して子に語りかける時
例：「お母さんに聞いてごらん。」
5. 第三者が、子の母親を指して子に語りかける時
例：「お母さんはどこに行ったの？」
6. 年配の女性に対して親しみを込めて呼ぶ時
例：「お母さんはおいくつですか？」

類語

「お母さん」には、以下のような類語があります。

かあさん：より親しみを込めた言い方で、1～3の用法で使われます。
お袋：ややくだけた言い方で、1と5（青年間）の用法で使われます。
かあちゃん、ちゃーちゃん：さらに親しみを込めた、幼児語に近い言い方です。

親戚に対する呼称

まれに、自分の母親以外の女性を「お母さん」と呼ぶことがあります。これは、既婚の若い女性から中年期以降の成人女性に対して、親しみを込めて使う一般的な言葉です。

義母：配偶者の母親が中年期以降の成人女性の場合に使います。高齢の女性や、自分の子供の祖母である場合は、「おばあさん」と呼ぶこともあります。
伯母・叔母：「おば」と呼ぶ代わりに、「ママ」や「〇〇のお母さん」と呼ぶこともあります。
祖母：中年期以降の成人女性である場合に、「お母さん」と呼ぶことがあります（40～50代の人はまだ若いので、高齢ぶるのは好ましくないという考え方もあります）。

対義語・関連語

母性
お父さん
おば
おばあさん

関連項目

親族呼称
家族

もう一度検索