かしみん焼き

岸和田のソウルフード「かしみん焼き」：鶏肉と牛脂のハーモニー

古き良き時代の洋食焼きの流れを汲む「かしみん焼き（かしみんやき）」または「かしみ」。大阪府岸和田市に伝わる、地元に愛されるお好み焼きです。一般的なお好み焼きとは一線を画す、その独特の製法と味わい、そして地域との繋がりを紐解きます。

鶏肉と牛脂、そしてキャベツの絶妙なバランス

かしみん焼きの特徴は、なんといってもその具材にあります。豚肉やイカといった、お好み焼きの定番具材ではなく、鶏肉（親鶏が必須）と牛脂のミンチを組み合わせている点が最大の特徴です。「かしわ」（鶏肉）と「ミンチ」を組み合わせた名前が、その名の由来となっています。

関西地方では鶏肉を使ったお好み焼きは珍しくありませんが、牛脂を組み合わせているのは岸和田周辺が特徴的です。この牛脂が、かしみん焼きの味わいを決定づける重要な役割を果たしています。鶏肉は焼くことでパサつきがちですが、牛脂を加えることで、パサつきを抑え、濃厚で旨みのある仕上がりを実現しています。また、鉄板への焦げ付き防止にも役立ち、香ばしい焼き上がりにも繋がります。豚バラ肉のような、脂身の多い肉と同じ効果があると言えるでしょう。

戦前の洋食焼きを受け継ぐ製法

現在の関西地方で主流となっている、小麦粉と具材を混ぜ合わせて焼く「混ぜ焼き」とは異なり、かしみん焼きは戦前の洋食焼きのスタイルを受け継いでいます。水で溶いた小麦粉を鉄板で丸く薄く焼き、そこに刻んだキャベツを乗せます。そして、別途鉄板で炒めた鶏肉と牛脂を乗せ、さらに小麦粉を少し加えてひっくり返し、じっくりと焼いてキャベツを柔らかく仕上げます。仕上げにはウスターソースだけでなく、醤油を使う場合もあります。

地域に根付く、かしみん焼き

かしみん焼きは、岸和田市内全域で食べられるわけではありません。主に旧紀州街道周辺、海岸に近い地域で食べることができます。南海電気鉄道岸和田駅周辺では提供している店は少ないです。興味深いことに、かしみん焼きを提供している地域は、岸和田だんじり祭に積極的に参加している地域と重なっています。そのため、祭りの最中には営業を休む店や、通常とは異なるメニューを提供する店も多いです。

南海電気鉄道春木駅周辺や大阪市内でも、かしみん焼きを提供する店がありますが、オリジナルとは少しアレンジされている場合が多いようです。

まとめ：岸和田の隠れた名物

かしみん焼きは、鶏肉と牛脂の組み合わせが織りなす、独特の風味と食感、そして歴史と伝統を感じさせるお好み焼きです。岸和田を訪れた際には、ぜひ本場の味を堪能してみてください。そのシンプルながらも奥深い味わいは、きっとあなたを魅了するでしょう。しかし、提供店が限られているため、事前に確認してから訪れることをお勧めします。

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