かしわ台車両センター

相模鉄道（相鉄）の主要な車両基地および車両工場として、神奈川県海老名市に所在します。相鉄本線のかしわ台駅に隣接しており、相鉄が保有する全ての車両に対する検査や大規模な改造工事を一手に引き受ける重要な拠点です。相鉄線内で最も規模の大きい車両基地機能を併せ持っており、多くの車両がここで日常的に管理されています。

施設概要と役割

かしわ台車両センターは、広大な敷地と充実した設備を誇ります。旧工機所エリアだけでも敷地面積は約19,059平方メートル、建物面積は約13,623平方メートルに及びます。ここでは、仕業検査、機能検査、重要部検査、全般検査といった多岐にわたる検査を実施しており、年間を通じて174両の車両検修能力を有しています。最大224両の車両を収容可能で、留置線は19本、洗浄線は2本（うち1本に車体洗浄機を設置）が整備されています。また、検査線は10両編成対応が2本、6両編成対応が1本の計3本、入出場線は2本（うち1本は車輪転削設備を兼備）、折返し線としてU線とV線の2本が設けられています。

このセンターで整備が完了した車両の車体には、「かしわ台工」という略号が記されます。

新しい車両保全への取り組み

車両の維持管理においては、JR東日本の新系列車両に採用されている新しい保全体系に準じた方法が導入されています。これは、相鉄10000系車両の導入を機に進められたもので、従来の検査体系からより効率的かつ状態に応じた保全へと移行しています。主な検査名称はJR東日本とは異なりますが、以下の内容で実施されています。

機能確認検査: おおむね90日以内に一度実施される、機能保全検査を簡略化した内容の検査です。
機能保全検査: おおむね360日以内に一度実施され、従来の月検査に相当する内容を持つ検査です。
重要部保全検査・全般保全検査: 2007年4月からは、重要部検査および全般検査においてもこの新しい保全体系が適用されています。

沿革

かしわ台車両センターの歴史は、以下のような重要な出来事を経て現在に至ります。

1967年 9月1日: かしわ台検車庫が新設されました。
1971年 12月15日: 修車工場が完成し、星川にあった工場の機能が全て移転しました。
1972年 1月16日: かしわ台工機所が正式に発足しました。
1981年 4月22日: 検車庫の延伸工事と艤装施設の増築が行われました。
2001年2月: 施設の改良工事に着手しました。
2002年 9月4日: 改良工事が竣工しました。
2005年 10月1日: かしわ台工機所およびかしわ台電車基地が統合され、現在の「かしわ台車両センター」に改称されました。

所属車両

2025年6月1日現在、かしわ台車両センターには、営業運転用および事業用車両を含め、合計49編成446両の相鉄車両が所属しています。主な形式は以下の通りです。

8000系: 10両編成6本（60両）。一部リニューアル（YOKOHAMA NAVYBLUE塗装）済み。
9000系: 10両編成6本（60両）。全編成リニューアル（YOKOHAMA NAVYBLUE塗装）済み。
10000系: 10両編成3本、8両編成5本（70両）。一部リニューアル（YOKOHAMA NAVYBLUE塗装）済み。
11000系: 10両編成5本（50両）。
12000系: 10両編成6本（60両）。全編成YOKOHAMA NAVYBLUE塗装で、JR線直通に対応しています。
20000系: 10両編成7本（70両）。全編成YOKOHAMA NAVYBLUE塗装で、東急東横線直通に対応しています。
21000系: 8両編成9本（72両）。全編成YOKOHAMA NAVYBLUE塗装で、東急目黒線直通に対応しています。
モヤ700系: 2両編成2本（4両）。事業用車両です。

他社線車両の留置

相鉄・JR直通線や相鉄・東急直通線の運用に伴い、相鉄線へ乗り入れる他社線車両も、かしわ台車両センターや相模大塚駅などで夜間留置や日中留置が設定されています。特に、JR東日本E233系7000番台や、東急電鉄の5050系4000番台、3020系、5080系、3000系などが、ダイヤや教習、試運転などの目的で入線することがあります。

保存車両

敷地内には、かつて相鉄線を支えた貴重な車両たちが静態保存されており、鉄道ファンにとって見どころの一つとなっています。保存されているのは、元神中3形蒸気機関車・ハ24号客車、トフ400形無蓋車、6000系（モハ6001・モハ6021）、2000系（モニ2005）、そしてED10形電気機関車（ED11）です。

これらの車両は、相鉄の歴史を物語る貴重な存在として大切に保管されています。特に、モハ6001とモハ6021、ED11は、かつて相模鉄道の会社創立90周年を記念して再塗装された経緯があり、その後モハ6001は登場時の若草色塗装に戻されるなど、その姿に変化が見られます。

かしわ台車両センターは、最新車両のメンテナンスから歴史的な車両の保存まで、多岐にわたる機能を持ち合わせ、相模鉄道の安定した輸送サービスを支える要として日夜稼働しています。

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