かぜ耕士

かぜ耕士（山田功）

かぜ耕士（本名：山田功、1944年7月13日 - 2020年9月26日）は、日本の作詞家、放送作家、ラジオパーソナリティとして多岐にわたる分野で活躍しました。

生涯

埼玉県比企郡嵐山町に生まれたかぜ耕士は、東京都墨田区向島の美容院で青春時代を過ごしました。東京都立本所高等学校を卒業後、日本大学芸術学部演劇学科に進学し、ミュージカル俳優を目指します。

1967年、大学在学中に永六輔が主催する創作集団「ニコニコ堂」に参加。「かぜ耕士」の筆名はこの時に名付けられました。この集団には、後に著名な演出家となる喰始もいました。永六輔が作家志望の学生を募集したことがきっかけで、放送作家、作詞家としてのキャリアをスタートさせます。

1968年4月、アイ・ジョージの『太陽よ永遠なれ』で作詞家デビューを果たします。当時、フジテレビの『3時のあなた』や文化放送の『走れ!歌謡曲』でアシスタントディレクターとしても活動していました。

1969年からは放送作家としての活動も本格化させ、テレビ、ラジオの番組でレギュラーを担当。NHKの音楽番組『ステージ101』の出演者オーディションに合格したシング・アウトが、音楽コンクールに参加することになった際、かぜ耕士は音楽監督の中村八大と「涙をこえて」を共作。この曲はシング・アウトによって披露され、作曲グランプリを受賞。シング・アウトのデビュー曲としてリリースされ、大ヒットを記録しました。

1970年1月より放送開始された『ステージ101』では、「涙をこえて」が番組オリジナルソングとして披露され、番組を代表する楽曲となりました。かぜ耕士は番組構成を担当するとともに、「脱線列車にのり込んで」などのオリジナルソングの作詞も手掛けました。

1972年4月から半年間、『土曜ショー』のインタビュアー、ナレーターを務め、同年10月からはNHKラジオ『若いこだま』にレギュラー出演し、ラジオパーソナリティとしての活動を開始。深夜放送ブームの中、『たむたむたいむ』で人気を博し、その後『セイ!ヤング』、『オールナイトニッポン』といった代表的な番組のパーソナリティを担当しました。

1981年10月、『かぜ耕士のオールナイトニッポン』が終了。ラジオのレギュラーパーソナリティからは一旦離れ、単発番組への出演やCMナレーションなどを務めます。

1984年、活動の中心をテレビ番組の構成に移し、情報番組やドキュメンタリー番組を多く手掛けます。この頃から、風小路将伍というペンネームを使い始めました。

1985年、『そこが知りたい』の「通勤線途中下車」シリーズの構成を担当。

1999年4月からは『バックグラウンド・ミュージック』（TBSラジオ）の構成を担当し、再び「かぜ耕士」の名前を使用しました。ただし、テレビにおいては引き続き「風小路将伍」名義での活動を続けました。

2013年6月、エフエムさがみ（FM HOT 839）で「かぜ耕士のどこかでラジオが」のパーソナリティとしてラジオに復帰。一時ギランバレー症候群で入院しましたが、2014年4月にはラジオパーソナリティとして復帰し、出演を続けました。

2020年9月26日、76歳で逝去。

主な作品

作詞

あいざき進也「ダウンタウンひとりぼっち」
伊勢功一「今夜の雨は女の涙」
春日八郎「おさみし谷の子守唄/明日に微笑はない」
西城秀樹「おぼえているかい」
鹿内タカシ「モカの香り」
西崎みどり「おもいで湖畔」
シング・アウト「涙をこえて」
市川光興「夕陽のまつり」

ラジオ番組

若いこだま （1972年10月 - 1973年3月、NHK）土曜日
たむたむたいむ （1973年4月 - 1978年6月）
セイ!ヤング （1978年4月 - 1979年12月、月曜日）
オールナイトニッポン （1980年7月 - 1981年10月、水曜日2部）
かぜ耕士のどこかでラジオが（2013年 - エフエムさがみ 土曜 23時）

映画

ラッコ物語 （東宝制作、1987年公開、脚本担当）

著書

さよならの待ち伏せ　平安書店　1974年
各駅停車の青春に　婦人生活社　1975年
各駅停車の青春に（続）　婦人生活社　1976年
地球のフチに腰かけて　学習研究社　1977年
学校ってなんだ　祥伝社　1979年
炎の佛師　松本明慶　（共著）ネスコ　1999年
若山弦蔵のバックグラウンドミュージック　（共著）コスモの本　2002年

関連人物

永六輔
中村八大
シング・アウト

かぜ耕士は、日本の音楽・放送文化に多大な貢献をした人物として、その名は記憶されることでしょう。

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