涙をこえて

「涙をこえて」についての詳細

「涙をこえて」は、作詞をかぜ耕士、作曲を中村八大が手がけた楽曲で、1969年11月5日にシング・アウトのデビュー・シングルとしてリリースされました。これにより、シング・アウトは音楽界に強烈な印象を残し、特にNHKの音楽番組『ステージ101』のオリジナルソングとして知られるようになりました。この曲は、同番組の代表曲となり、放送の中で何度も披露されてきました。

作曲背景と番組の始まり

中村八大は、1961年から1966年に放送されたバラエティ番組『夢であいましょう』で多くのヒット曲を提供した経験を持つ作曲家です。『夢であいましょう』の演出を担当していたNHKのディレクター、末盛憲彦が新たに音楽番組『ステージ101』を立ち上げるにあたって中村が音楽監督に就任しました。末盛はアメリカの番組「ヤング・アメリカンズ」に影響を受け、大勢の若者が参加する音楽とダンスのショーを構想しました。1970年に始まる放送に先立って、1969年の春にはレギュラー出演者のオーディションを行い、様々な歌手やデビュー前の新人からなる「ヤング101」というグループを結成しました。このグループは、厳しいレッスンを受けることで舞台に向けた準備を進めました。

シング・アウトと「涙をこえて」の誕生

ヤング101のオーディションの合格者の第一号であるシング・アウトは、音楽コンクール『第1回合歓ポピュラーフェスティバル'69』に出場し、「涙をこえて」を披露しました。これは作曲グランプリを受賞する結果に結びつき、その後の1969年11月5日にこの曲を収録したデビュー・シングルが発売されました。このシングルは21万枚を売り上げ、シング・アウトの最大のヒットとなりました。

この曲は、フジテレビの歌番組『フジテレビ今週のヒット速報』のランキングでも高評価を受けましたが、リハーサルの時間がヤング101のレッスンと重なっていたため、シング・アウトは他局の番組には出演できないという方針により出場できませんでした。

ステージ101での活躍

シング・アウトは1970年1月10日の『ステージ101』の第一回放送から「涙をこえて」を披露しました。志向の違いから彼らは1971年4月にヤング101を卒業しましたが、その後も「涙をこえて」は番組内で歌い続けられ、ステージ101の象徴的な楽曲の一つとなりました。番組の最終回では、彼らの歌唱が番組終了のシーンとして記録され、現在もNHKアーカイブスで視聴することができます。

現在の人気と歌われ方

現代において、「涙をこえて」は小中学校の合唱曲としても親しまれ、特に卒業式で歌われることが多くあります。また、2005年にはNHKのアンケートで紅組の74位にランクインし、2006年の中学1年生向けの音楽教科書にも掲載されています。さらに、2013年のNHK特番『思い出のメロディー』では、多くの出演者がこの曲を合唱しました。2010年以降はフジテレビのバラエティでも頻繁に使用され、特別番組では出演者がこの曲を合唱するシーンも見られました。このように、「涙をこえて」は世代を超えて愛され続ける名曲となっています。

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