かつをどり (航空機)

かつおどり (かつをどり)

かつおどりは、大日本帝国陸軍のためにその開発が進められたラムジェットエンジンを搭載した無尾翼の近距離戦闘機です。この項目では、かつおどりの開発経緯や試作機の詳細について解説しますが、実際の製造には至っていません。

開発の背景

かつおどりの開発は1935年12月に始まり、当時の萱場製作所社長、萱場資郎が陸海軍の航空関係者へ無尾翼高速ジェット機の開発を提案したことが契機となりました。この提案には、カツオドリやイカの特性がヒントとして含まれていました。提案に興味を持った陸軍の石原莞爾大佐の動きもあり、1936年には陸軍からの出資で萱場製作所がジェットエンジン開発に乗り出すことが決定し、KF研究課が設立されました。

KF研究課は、 東京帝国大学の工学博士たちを中心に構成され、数十種類の無尾翼機のペーパーモデルが製作されました。その中から、実験的に有人試験機が設計されることになったのです。

HK-1の開発

木村によって設計されたHK-1は1938年2月に完成しました。この機体は高アスペクト比を持つ全翼グライダーで、後退翼と垂直安定板を備えており、ゴム索や曳航による発進が可能でした。初期の飛行試験は柏飛行場で行われ、試験パイロットによる182回の飛行が実施されましたが、テストパイロットの不適切な操縦により墜落し、機体が大破する事態が発生しました。

HK-1の基本情報

• - 全長: 3.50 m
• - 全幅: 10.00 m
• - 自重: 120 kg
• - 滑空速度: 85 km/h
• - 乗員: 1名

ク2およびク3の開発

HK-1の良好な性能を受け、陸軍は動力化可能な発展型機の開発を求め、HK-2（試作名ク2）とHK-3（試作名ク3）の設計が行われました。ク2は1939年9月から設計が始まり、1940年に完成。初飛行では安定性や操縦性は良好だったものの、パイロットの不適切な操縦により墜落してしまいました。

一方、ク3は1941年2月に完成し、こちらも墜落事故に見舞われました。これらの事故によって、陸軍航空技術研究所は無尾翼機の開発計画を打ち切ることとなりました。

ク2の基本情報

• - 全長: 3.04 m
• - 自重: 124 kg
• - 滑空速度: 75 km/h

ク3の基本情報

• - 全長: 6.00 m
• - 自重: 不明
• - 滑空速度: 80 km/h

ク4の計画

ク2とク3の試験結果を踏まえ、ク4（またはHK-4）の開発が試みられましたが、ク2の事故を受けて、実戦機優先の方針から計画は中止されました。ク4は推進式無尾翼機として設計され、ラムジェットエンジンを搭載する構想もありましたが、実現には至りませんでした。

ク4の基本情報

• - 全長: 3.42 m
• - 自重: 515 kg
• - 最大速度: 180 km/h

ジェットエンジンの開発

萱場製作所は1937年からジェットエンジンの開発に着手し、実証実験を経てラムジェットエンジンの開発が進められました。かつおどりには、最大750 kgの推力を持つラムジェットエンジンが搭載される予定でしたが、実際に製造されることはありませんでした。

まとめ

かつおどりの研究は1943年ごろまで続けられましたが、最終的には経済的な理由や技術的な課題から実現には至りませんでした。それでも、この開発の過程には多くの技術者やパイロットが関与し、日本の航空技術の発展に寄与したことは間違いありません。

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