柏飛行場

柏飛行場

柏飛行場は、かつて千葉県柏市に存在した旧日本陸軍の軍用[[飛行場]]です。第二次世界大戦中には、首都圏防衛の重要な拠点として機能しました。その広大な敷地は、戦後、農地や公共施設へと転用され、現在はその面影をほとんど残していません。

概要

柏飛行場は、総面積約264ヘクタールを誇る広大な飛行場でした。コンクリート舗装された1,500メートルの滑走路を中心に、飛行機の分散秘匿用の誘導路が設けられていました。また、兵舎や掩体壕などの施設も充実しており、最大で約1,500名の兵士を収容することができました。

主な施設

滑走路: コンクリート舗装、全長1,500m、全幅60m
誘導路: 東・西・北の3本、総延長約5,500m
兵舎: 約1,500名収容
掩体: 79基

燃料・弾薬集積（1945年5月当時）

燃料: 航空機用揮発油ドラム缶2,000本、自動車用40本
機関砲弾: 12.7mm弾6万発、20mm弾4万発
爆弾: 500kg爆弾30発、250kg爆弾50発、100kg爆弾240発

歴史

柏飛行場の建設は、1937年（昭和12年）に策定された「長期航空軍備計画」に基づいて始まりました。陸軍は首都圏周辺に要地防空のための飛行場を求めており、地元からの誘致活動もあって、柏の地が選ばれました。1938年（昭和13年）11月に柏陸軍飛行場として開設され、当初は訓練飛行が中心でした。しかし、戦局の悪化に伴い、実戦部隊が次々と配備され、本土防空の拠点としての役割を強めていきました。

戦時中の役割

訓練拠点: 開設当初は、飛行第5戦隊が錬成を重ねていました。
本土防空: B-29による空襲が激化すると、邀撃部隊が頻繁に出動しました。
秋水実験基地: 日本初のロケット戦闘機「秋水」の実験基地として選ばれ、実用化に向けて試験飛行が行われました。

戦後の変遷

終戦後、柏飛行場はアメリカ軍に接収されましたが、すぐに農地転用が決定しました。開拓が進められ、多くの入植者が生活を始めました。その後、朝鮮戦争の勃発によって一時的にアメリカ軍に再接収されましたが、最終的には返還され、跡地は様々な公共施設や住宅地へと姿を変えました。

柏飛行場と秋水

柏飛行場は、日本初のロケット戦闘機「秋水」の実験基地としても知られています。秋水は、ドイツのロケット戦闘機Me163を参考に開発されたもので、B-29に対する迎撃機として期待されていました。1945年（昭和20年）には、陸軍航空審査部特兵隊が多摩飛行場から展開し、柏飛行場で実用実験を行いました。しかし、終戦までに実戦配備されることはありませんでした。

秋水の実験

1945年（昭和20年）3月: 実用実験のため、軽滑空機（MXY8「秋草」）による飛行試験を開始
1945年（昭和20年）8月11日: 秋水重滑空機の試験飛行中に墜落・大破

周辺地域への影響

柏飛行場の存在は、周辺地域にも大きな影響を与えました。飛行場周辺には軍需工場や関連施設が建設され、地域経済に貢献しました。しかし、戦時中にはB-29の墜落事故も発生し、多くの犠牲者を出しました。

B-29墜落事故

1945年（昭和20年）3月: 柏飛行場から北西約4kmの地点にB-29が墜落、搭乗員10名が死亡
1945年（昭和20年）5月: 柏飛行場から西方約2kmの地点にB-29が墜落、搭乗員11名全員が死亡

現在の柏飛行場跡地

現在、柏飛行場の跡地は、千葉県立柏の葉公園、東京大学柏キャンパスなどの研究教育施設、財務省税関研修所、国土交通大学校、警察庁科学警察研究所、国立がん研究センター東病院などの国・官公庁関連施設、市立小学校、県立高校、柏の葉公園住宅などが建ち並び、かつての軍事施設の面影はほとんど残っていません。一部、航空自衛隊の柏送信所が当時の兵営地区中央部分に現存しています。

まとめ

柏飛行場は、第二次世界大戦中に重要な役割を果たした軍用[[飛行場]]でした。戦後は農地や公共施設へと転用され、その歴史を今に伝えています。かつては多くの兵士が訓練し、ロケット戦闘機「秋水」が実験飛行を行ったこの場所は、今では平和な街並みへと変わりました。しかし、その歴史を忘れることなく、平和の尊さを語り継いでいく必要があります。

もう一度検索