かもめが翔んだ日

渡辺真知子の「かもめが翔んだ日」

「かもめが翔んだ日」は、1978年4月21日にリリースされた渡辺真知子のセカンド・シングルであり、彼女の代表曲の一つとして知られています。この楽曲はCBS・ソニー（現・ソニー・ミュージックレコーズ）から発売され、すぐに多くの人々に親しまれる存在となりました。この曲は、渡辺が才能を開花させるきっかけともなり、以後の音楽活動へと繋がる重要な作品です。

楽曲の誕生

渡辺真知子はアマチュア時代から自作の歌詞やメロディを手がけており、プロの音楽家としての道を志していました。そのため、セカンドシングルではプロの作詞家である伊藤アキラの詞を得ることに大きな喜びを感じていました。実際、詞を渡された時、彼女の中で新たな旋律が自ずと浮かび上がったそうです。

しかし、楽曲の冒頭部分に「ハーバーライトが…」という歌詞は最初の段階では存在しませんでした。レコードのプロデューサーから「何かが不足している。始まりの歌詞が必要だ」との要望を受け、伊藤が追加の詞を提供しました。それを受け取った渡辺は、後に新しい曲を作成しようとしましたが、驚くことに、追加の詞を曲に乗せて歌ってみたところ、異なる曲が一つに繋がってしまったのです。この不思議な偶然に、渡辺は後のインタビューで驚きを隠せない様子でした。

録音時には通常、テンポを統制するために機械を用いるのが一般的ですが、今回の録音では羽田健太郎のピアノを含むミュージシャン全員が「自然な流れでいこう」と決め、機械を使うことをやめました。その結果、曲が進行するにつれて徐々にテンポが速くなるという独特のスタイルが実現しました。

試聴会での反響

「かもめが翔んだ日」は試聴会の段階から高い評価を受けました。発売前の試聴会において、他の楽曲が流れる中でも、観客はこの曲に対して盛大な拍手を送り、異例のアンコールが起こるほどの反響がありました。周囲の関係者たちは、この楽曲がヒットすることを確信していました。実際、リリース後には46万枚を売り上げ、渡辺は第20回日本レコード大賞で最優秀新人賞を受賞することになります。

横須賀との関係

歌の中には具体的な地名は出てきませんが、渡辺自身の出身地である神奈川県横須賀市の観音崎がイメージされているとされています。また、2008年からは横須賀市内の京浜急行電鉄堀ノ内駅の接近メロディとして使用されており、地域に根付いた楽曲としての位置づけもあるのです。

収録曲とカバー

シングル「かもめが翔んだ日」には、同じく伊藤アキラが作詞、渡辺が作曲した「なのにあいつ」がA面とともに収録されています。さらに、千葉ロッテマリーンズの応援ソングとして使用されるなど、幅広い展開を見せています。これを受けて、渡辺自らが歌唱したスタジアム・バージョンも限定リリースされました。

この楽曲は、その後も多くのアーティストによってカバーされています。PE'ZやAcid Black Cherry|Acid_Black_Cherry、島津亜矢など、様々な世代のミュージシャンがこの名曲を再解釈し、音楽シーンに新たな彩りを加えています。「かもめが翔んだ日」は、ただの一曲以上の存在として、多くの人々の心に感動をもたらし続けているのです。

もう一度検索