からむし織

からむし織（からむしおり）について

からむし織は、福島県昭和村で生産される苧麻（ちょま）という植物の繊維を使用した伝統的な織物です。この織物は、その優れた吸湿性と速乾性により、特に夏場の衣服として重宝されています。奥会津昭和からむし織としても知られ、国の伝統的工芸品に指定されています。

生産地と技術

昭和村はからむしの重要な生産地であり、ここから生まれる繊維は、からむし織だけでなく、小千谷縮や越後上布など多岐にわたる製品に利用されています。このため、昭和村で行われる「からむし（苧麻）の生産や苧引き」は国の選定保存技術として認識されています。さらに、昭和村のからむし生産に関する器具や製品は、国の重要有形民俗文化財に指定され、地域の文化的な価値が保たれています。

生産工程

からむし織の生産は、いくつかの重要な工程を経て行われます。以下にその主な工程を詳述します。

1. からむし焼き

この工程では、からむしの発芽を一定に揃えるために、二十四節気の小満の時期に焼き畑を実施します。これにより、成長を促し、品質の良い繊維を得ることができます。

2. 刈り取り

7月頃からお盆前にかけて、からむしを一本ずつ丁寧に手作業で刈り取ります。この作業は細心の注意が必要であり、手の感触を大切にしながら行います。

3. からむし剥ぎ

刈り取ったからむしは、数時間から一晩ほど水に浸され、その後、丁寧に皮を剥ぎ取ります。この工程では、繊維へのダメージを最小限に抑えることが重要です。

4. からむし引き

剥いだ皮の外皮を除去し、表皮と繊維を一枚ずつ引き分けます。この作業には苧引き具を用い、取り出した繊維は数日間陰干しし、しっかりと乾燥させます。

5. 苧積（おうみ）

乾燥した繊維は糸の太さに合わせて裂き、繋ぎ合わせます。これにより、繊維の強度が増し、品質の高い糸が生成されます。

6. からむし織

最後に、積まれた糸を地機または高織で手織りします。地機で織られた製品は、伝統工芸として特に評価されています。

まとめ

からむし織は、ただの衣服のための素材ではなく、地域の文化や伝統を象徴する重要な存在です。その生産技術は長い歴史を持ち、今なお多くの人々に受け継がれています。福島県昭和村のからむし織は、現代においてもその価値を高め続けており、手作りによる温もりと質感が魅力の一つです。

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