かりふぉるにあ丸

かりふぉるにあ丸の歴史と沈没事故

かりふぉるにあ丸は日本で建造された鉱石運搬船であり、全長218.25メートル、幅32.2メートル、総重量62,147トンの大型船です。1965年、第一中央汽船の依頼を受け、三菱重工業横浜造船所で完成しました。この船は、鉱石の輸送を目的として建造され、高い運搬能力を誇っていました。

沈没事故の詳細

1970年1月24日、かりふぉるにあ丸はロサンゼルス港を出港し、乗員は29名でした。しかし、同年2月9日に発生した低気圧によって、千葉県野島崎の東方320km地点で大波を2度受け、航行不能に陥ります。この際、船はSOS信号を発信しました。

その後、ニュージーランド船の「オーテ・アロア」や自動車運搬船の「えくあどる」が救助に向かいました。かりふぉるにあ丸は救命艇を2隻備えていましたが、荒天のため降下を試みたものの失敗し、流されてしまいました。結果として、乗員の6名が海に落下するという事態を引き起こしました。

アメリカ軍の救難機は、5個の救命ボートを投下しましたが、船体への投下がうまくいかず、救助が難航します。そこで「オーテ・アロア」の救難艇が荒天下にあっても決死の覚悟で進発し、かりふぉるにあ丸に残っていた23名の乗員を救助しようとしました。

ただし、船長の住村博士（当時45歳）および三等航海士は、退船を拒否しました。船長は「みんな行ってくれ、わしゃ残るわ」という言葉を残し、沈みゆく船と共に行動を選びました。

この決断の背景には、当時の船員法に規定された「船長の最後退船義務」があったとされ、さらに太平洋戦争時代には艦長が船と共に命を懸けることが不文律として根付いていたことが挙げられます。この事件を受けて、船員法第12条から最後退船義務の一節が削除されるに至ります。

救命艇降下作業中に転落した6名のうちの2名は、13時間後に川崎汽船所属の貨物船「えくあどる」によって発見され、アメリカ軍の救難機の支援を受けて無事に救助されました。しかし、残りの4名は行方不明となり、最終的には発見されませんでした。

沈没後の影響

かりふぉるにあ丸の沈没事故については、その前年に同じく海域で沈没したぼりばあ丸の事例もありました。さらには、1970年2月10日にはフジテレビがこの事故を取材するためチャーターした航空機が千葉県沖で墜落し、乗員3名が死亡するという悲劇が続きました。

2月12日には、海上保安庁がかりふぉるにあ丸の救助にあたった「オーテ・アロア」の乗組員に感謝の意を表し、感謝状と記念品が贈呈されました。このような事故は、海上安全や救助活動の重要性を改めて認識させるものであり、今後の航海における安全対策の見直しが求められる契機となりました。

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