ぼりばあ丸

ぼりばあ丸の沈没と原因の考察

ぼりばあ丸（ぼりばあまる）は、かつてジャパンラインが所有していた撒積貨物船であり、1969年に太平洋で沈没しました。この船は、東京都江東区豊洲にある石川島播磨重工業の東京第二工場でブロック工法により建造されました。

沈没事故の詳細

1968年12月10日、ぼりばあ丸はペルーのサンニコラスを出港し、鉄鉱石53,746トンを積載して川崎港を目指しました。1969年1月4日、強風の中を平均速力8.7ノットで航行していた船は、翌日の午前10時30分頃、千葉県野島崎の南東沖合で突然の船体破損を経験します。具体的には、船の2番船倉近辺から船首部分が折れ、結果として船は航行不可能に陥りました。悪化する状況を受け、乗組員は非常の退船準備を始めました。

しかし、午前11時27分、船倉に大量の浸水が発生し、船首を下向きにして沈没しました。この時、近隣を航行していた貨物船の健島丸が遭難信号を受信し、速やかに救出活動を開始。午前12時過ぎに漂流していた2名を救助しましたが、残念ながら船長を含めた31名の乗組員は行方不明となり、後に死亡が確認されました。

沈没原因の調査

この事故の原因に関しては、当初から船体の強度不足や応力の集中が疑われましたが、当時はコンピュータによる精密な構造シミュレーションが行えなかったため、詳しい原因の解明は困難でした。1972年に実施された横浜地方海難審判庁および運輸省の調査でも明確な原因は特定されませんでしたが、ぼりばあ丸の進水後及び定期検査において、船体に多くの損傷が見られたことが新たに判明しました。さらに、その後続いた5年未満での新造バルクキャリア船型や鉱石運搬船の沈没が、全体的な沈没原因解明の手助けとなりました。

ぼりばあ丸沈没の主な原因として、以下の要素が指摘されています。

• - 水密隔壁数の不足：一般貨物船は9枚以上の隔壁が必要ですが、ぼりばあ丸は7枚しか持たなかった。
• - 隆起甲板横造：船体強度向上のために採用された構造ですが、現代では使用されていません。
• - 適用基準の不備：ぼりばあ丸は鉱石装備船や撒積貨物船ではなく一般貨物船の基準で建造されていました。
• - バラストタンクの防食不備
• - 高炭素鋼による鋼材問題：低温脆性が問題視される可能性がありました。
• - 溶接不良

これらの要因が重なり合い、短い就航期間の3年3ヶ月で沈没に至ったぼりばあ丸は、社会に大きな衝撃を与えました。この事故は、造船技術審議会において鉱石運搬船特別部会が設置される原因ともなり、当時の運輸大臣に対して安全対策が求められました。

参考文献

• - 谷澤 克治著「実海域での耐航性能」 日本造船学会 TECHNOMARINE第884号 2005年3月
• - 国立科学博物館「技術の系統科学調査報告」 第5巻 2005年3月
• - 船舶技術協会『船の科学』1965年10月号
• - 海人社『世界の艦船』1977年6月号

関連項目

• - かりふぉるにあ丸
• - 第四艦隊事件
• - 大型専用船海難特別委員会

外部リンク

• - 機船ぼりばあ丸遭難事件 - 海難審判庁
• - 船舶の安全確保に関する研究成果活用に関する調査報告書 - 日本造船研究協会

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