きく7号

きく7号 (ETS-VII) の概要

きく7号（ETS-VII）は、日本の宇宙開発事業団（NASDA）が開発した技術試験衛星です。この衛星は、宇宙でのさまざまな実験を行うために設計され、1997年11月28日に種子島宇宙センターからH-IIロケットによって打ち上げられました。きく7号は、宇宙用ロボット技術や自動ランデブー・ドッキング技術の実験を中心に設計されており、国際的な宇宙計画にも貢献することを目的としています。

目的と特長

きく7号が目指した主な目的は、自動ランデブーやドッキング技術の実験、そして宇宙ロボット技術の開発でした。また、軌道上の原子状酸素の分布のモニタリングや、CCSDS（宇宙データシステム諮問委員会）に基づく宇宙データ伝送システムの試験も行いました。これらの実験は、地上の施設から追跡やデータ中継を通じて行われ、海外においても高く評価される技術レベルを示しました。また、これらの技術の成果は、後に宇宙ステーション補給機の無人ランデブー技術としても活用されました。

2011年、きく7号は地上からのロボットアームによる遠隔制御実験で素晴らしい成果を上げ、アメリカ航空宇宙学会による「2011 AIAA Space Automation and Robotics Award」を共同受賞しました。

開発の経緯

きく7号の基本構想は、1990年にNASDA内で提案されました。ランデブー・ドッキング及び宇宙ロボット技術を用いた実験を行うというこのプロジェクトは、1992年に予算が承認され、実際の研究開発への移行が始まりました。その後、1994年からプロトフライトモデル（PFM）の作成や試験が行われました。

打ち上げと運用

きく7号は、熱帯降雨観測衛星（TRMM）と共に打ち上げられました。最初にTRMMが分離された後、約28分できく7号も予定通りに軌道に投入されました。打ち上げ後、最初のランデブー・ドッキング実験が1998年の七夕に行われ、続いて2回目の実験も実施されましたが、スラスタの不具合により予定していた軌道から逸脱してしまいました。その後、ソフトウェアを改修し、再度挑戦した結果、8月27日に成功を収めました。これにより、きく7号の実験は大きな進展を見せることとなりました。

まとめ

きく7号は、日本の宇宙技術の進展に寄与し、宇宙での様々な技術実験を行ったことからも、その重要性がうかがわれます。この衛星の成果は、未来の宇宙事業においても大きな影響を持つこととなるでしょう。

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