きょうのできごと (小説)

きょうのできごと

作家・柴崎友香による小説、およびそれを原作とした日本映画。若者たちのありふれた一日の中に、それぞれの心情や関係性を繊細に描き出す群像劇として知られる。

小説

柴崎友香の単行本デビュー作として、2000年1月に河出書房新社より刊行された。大学を卒業したばかりの若者たちの日常や、彼らが抱える曖昧な不安や期待を、特定の主人公を定めず、それぞれの登場人物の視点から断片的に描き出す独特のスタイルで発表された。

物語の舞台は京都。大学院進学のため引越しする友人・正道のために集まった仲間たちの一日を中心に、彼らの過去や未来につながる出来事がオムニバス形式で綴られていく。

本作は読者からの支持を得て、その後複数の続編が発表されている。2004年には文庫版に「きょうのできごとのつづきのできごと」が、単行本として刊行された「もうひとつの、きょうのできごと」が、さらに2013年には『きょうのできごと、十年後』が発表されるなど、長く読み継がれるシリーズとなった。

映画

小説を原作とした日本映画が、2004年3月20日に『きょうのできごと a day on the planet』のタイトルで公開された。監督は、『GO』や『世界の中心で、愛をさけぶ』などで知られる行定勲が務めた。

当時の若手実力派俳優が集結したことでも話題となり、主人公格の真紀を田中麗奈、中沢を妻夫木聡、けいとを伊藤歩、正道を柏原収史がそれぞれ演じた。その他、池脇千鶴、山本太郎、大倉孝二、北村一輝、津田寛治など、豪華な顔ぶれが脇を固めている。

物語は、京都で大学院に進学する正道の引越祝いに集まった友人たちの一日を描く。恋人の真紀、友人のけいとと共に訪れた中沢を中心に、ごく普通の一日の中でそれぞれの登場人物が抱える思いや、彼らの間の微妙な関係性が静かに描かれていく。原作と同様、特定の主人公に焦点を当てるのではなく、それぞれの視点を入れ替えながら断片的なエピソードを積み重ねる手法が用いられている。若者たちの等身大の姿や、移ろいやすい心情をリアルに映し出し、多くの共感を集めた。

映画版キャスト

真紀 - 田中麗奈
中沢 - 妻夫木聡
けいと - 伊藤歩
正道 - 柏原収史
西山 - 三浦誠己
坂本 - 石野敦士
かわち - 松尾敏伸
ちよ - 池脇千鶴
山田 - 山本太郎
川崎哲（壁に挟まれた男） - 大倉孝二
サーファー - 北村一輝
希 - 派谷恵美
山田の彼女 - 椎名英姫
松本（レスキュー隊員） - 津田寛治
取材キャスター - 佐藤仁美

映画版スタッフ

監督 - 行定勲
脚本 - 行定勲、益子昌一
原作 - 柴崎友香（河出書房新社刊）
音楽 - 矢井田瞳
主題歌 - 矢井田瞳「マーブル色の日」
製作 - コムストック・グループ、レントラックジャパン、よみうりテレビ、葵プロモーション、電通、シィー・スタイル
配給 - コムストック

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